2009 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌幹細胞の同定および癌幹細胞に対する治療戦略
Project/Area Number |
21592564
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
水口 純一郎 Tokyo Medical University, 医学部, 教授 (20150188)
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / 癌幹細胞 / 治療戦略 |
Research Abstract |
大部分の扁平上皮癌細胞は化学療法剤やTNFファミリに属するTNF-related apoptosis-inducing ligand (TRAIL)刺激に対して感受性を示すが、中には治療中に抵抗性を獲得するものもある。我々は化学療法剤に対する耐性機序を検討してきたが、本研究プロジェクトでは他の癌細胞株で報告されているような自己複製能や腫瘍形成能をもつ癌幹細胞が存在し、これらの癌幹細胞が癌細胞を再生産し、化学療法剤耐性や再発に関与しているのではないか、という仮定の基に研究計画を立案した。初めに、原発及び転移巣由来の腫瘍塊から樹立された複数の口腔扁平上皮癌細胞株を用いて、幹細胞に発現していると想定される細胞表面抗原マーカー(CD34,CD44,CD133など)に対するモノクローナル抗体で染色し、フローサイトメーターで陽性細胞を評価した。検討した全ての細胞株(原発巣由来2種類、転移巣由来2種類)では、ほとんど全ての細胞がCD44陽性であった。マイナーな細胞亜集団が保有している候補分子(CD133,CD34)の中で、CD133に着目した。CD133陽性細胞をソートし、培養することによって増殖してくる細胞群を用いて化学療法剤感受性を検討したが、現時点ではCD133のマーカーでは化学療法剤に対する感受性/抵抗性を識別できるという結果は得られていない。他の細胞系列では癌幹細胞を純化できたという結果と考え合わせると、細胞系列により癌幹細胞は異なるマーカーをもつ、或は癌幹細胞には多様性があるという可能性が示唆される。次年度以降、異なるマーカーを用いて癌幹細胞の純化及び特徴を明らかにしていきたい。
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