2010 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌幹細胞の同定および癌幹細胞に対する治療戦略
Project/Area Number |
21592564
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
水口 純一郎 東京医科大学, 医学部, 教授 (20150188)
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / 癌幹細胞 / 治療戦略 |
Research Abstract |
悪性腫瘍は癌幹細胞から生み出されているという所見が蓄積されつつあるが、口腔扁平上皮癌由来の癌幹細胞は未だ充分に解析されていない。本研究では、口腔扁平上皮癌細胞株に存在している細胞表面マーカーを指標として、癌幹細胞の同定を試みた。候補分子としてCD24、CD34、CD38、CD44、CD133、およびCD184分子などに着目し、これらの分子に対する蛍光標識モノクローナル抗体を用いて、3種類の口腔扁平上皮癌細胞株を染色した。フローサイトメーターを用いて解析したところ、細胞株#9では僅かではあるが(0.1~1%程度)、有意のCD34、CD38、CD90、およびCD184分子の発現を認めた。同様に、細胞株#25および細胞株#15では夫々CD38/CD90分子およびCD90分子を発現していた(0.2%-0.7%程度)。一方、細胞株#15、#25、および#9におけるCD24/CD44の発現は夫々10%-20%、40%-70%、70%-80%程度であった。癌幹細胞は抗癌剤に対して抵抗性を示すという仮定の基に、細胞株#25をシスプラチンで処理したところ(生存率は95%から9%へ低下)、CD44軽度陽性CD24陰性(CD44^<low>CD24-)の割合は1%から10%へと上昇した。細胞株#15を抗癌剤で処理しても同様の傾向が観察された。しかしながら、細胞株#15におけるCD24+CD44+の割合は薬剤処理によって1%から4%へと増加したが、細胞株#25の割合は28%から10%へと低下した。これらの事実は口腔扁平上皮癌細胞株には多様性があり、多様な癌幹細胞株が存在しているということを示唆している。現在、これらの細胞株および亜集団の腫瘍形成能、細胞遊走、化学療法剤耐性、およびスフェア-形成能などを検討する中で、癌幹細胞(候補)の同定を試みているところである。
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