2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21592567
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
黒住 章弘 北海道大学, 北海道大学病院, 助教 (20374275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船橋 誠 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (80221555)
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Keywords | 悪心・嘔吐 / 全身麻酔 / c-Fos |
Research Abstract |
昨年度までは嘔吐と密接に関係する延髄最後野において低血圧刺激がc-Fos発現数を増加させることを確認した.本年度は低血圧が実際に嘔吐を引き起こすか否かをラットの異食行動を用いて検証する予定であったが,コントロール群と低血圧群のカオリン摂取量がともに安定せずデータが取得できなかった.そこで計画を変更し,制吐作用に差がある2種類の麻酔薬,イソフルランとプロポフォールを用いて全身麻酔後の延髄最後野におけるc-Fos発現数を比較検討し,麻酔薬の制吐の作用機序について考察することにした. ラットに空気・酸素・イソフルランで麻酔を行い,調節呼吸下に尾動脈および尾静脈にカテーテルを挿入し,観血的動脈圧測定および持続静注を可能にした.これら処置を45分以内に完了し,以後の測定を開始した.実験群として(1)イソフルラン群,(2)プロポフォール群について検討した.イソフルラン群は麻酔開始45分以降も引き続き1.4%イソフルランを投与した.プロポフォール群は,開始45分以降,プロポフォール60mg/kg/hを投与した.イソフルラン群は麻酔維持中の血圧低下を防止するため,昇圧剤フェニレフリン10μg/kg/minを投与し,プロポ フォール群との平均血圧に差がないようした.麻酔開始3時間後に4%パラホルムアルデヒドを用いて灌流固定を行い,脳組織を浸漬固定後,免疫染色を行った.その後,最後野のc-Fos発現数を比較した. c-Fos発現数(平均±標準偏差)は,イソフルラン群(n=7) 152±25,プロポフォール群(n=7)102±21,(p〈0.01)となり,制吐作用が強いプロポフォール群では,c-Fos発現数が有意に少なかった,プロポフォールは嘔吐中枢への入力経路のひとつである延髄最後野の神経興奮を何らかの形で抑制することにより制吐作用を発揮している可能性が示唆された.
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