2010 Fiscal Year Annual Research Report
歯槽骨延長術における口蓋瘢痕および周囲軟部組織変化に関する実験的研究
Project/Area Number |
21592589
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉山 円 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90451814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長濱 浩平 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60401361)
須佐美 隆史 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80179184)
西條 英人 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80372390)
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Keywords | 歯科矯正学 / 骨延長術 |
Research Abstract |
本研究は、適切な保定期間で後戻りのない患者負担を最小限とする骨延長法という新規歯科矯正治療法開発へとつなげることを目的とする。瘢痕の存在は矯正治療における歯の移動を困難にするばかりでなく、治療後の後戻りの大きな要因と考えられている。組織学、生化学的研究から口蓋瘢痕は細胞や血管の組成、線維束の走行、細胞外基質に正常組織との相違をみる。さらに膠原線維を介して口蓋骨と密に接着し、これらのことが伸展性の乏しい組織としての特徴を与えている。一方で、口腔内の他の軟組織、特に筋肉や粘膜では牽引ストレスを与えた場合、旺盛な細胞増殖活性や組織再生が観察される。仮骨延長法は骨とその周囲の軟組織を含めたhistiogenesisといわれているが、口蓋瘢痕、その周囲軟組織や歯肉・歯根膜および骨における延長ストレスに伴う反応は一様ではなく実に様々な変化様相を呈し、この反応性の相違による結果が歯槽骨延長における後戻りとして表現されてくる可能性が示唆される。口蓋瘢痕は、細胞や血管に乏しく、太く緻密な線維束が口蓋を横切るように粘膜表面に対し平行に配列し、これらが伸展性の乏しい組織としての特徴を与えている。瘢痕の存在が矯正治療における歯の移動を困難にするばかりでなく、治療後の後戻りの大きな要因と考えられる。実験動物としてラットを用い、実験的骨欠損を作成して口蓋瘢痕を形成させた後に骨延長術を適用する実験系を確立した。本研究は、口唇口蓋裂患者の口腔機能再建の新しい治療法を考える上で極めて意義深いものと思われる。
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