2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21592591
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
鈴木 聖一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (90187732)
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Keywords | 骨延長 / 上顎骨 / 顎外牽引力 / 超音波画像 / 咀嚼能率 / ガム / 球形樹脂微粒子 / 咀嚼運動 |
Research Abstract |
上顎骨骨延長治療は、上顎骨の劣成長が著しい口唇口蓋裂症例や上下顎の不調和が大きい顎変形症の咬合と審美性を回復する最も有効な治療法である。しかしながら、本法は頭部固定装置に取り付けた顔面の前方に位置する支柱に設置された2つのネジのみで上顎骨を前方および上下方向に三次元的移動を行うため、適切な力で牽引しつつ目標とする位置に上顎骨を移動させることは極めて困難である。さらに症例によっては左右のネジのカを変えることにより上顎骨に回転のモーメントを加える場合もあり、そのコントロールには熟練したテクニックが必要とされる。今回申請する研究は、上顎骨の移動中に上顎骨に負荷される牽引力と上顎骨の移動様相がリアルタイムで把握できるシステムを構築することを目的とした。研究計画に従って超小型張力センサーを用いて上顎骨に負荷される牽引力を計測するとともに、超音波画像診断装置を用いて上顎骨の移動様相を把握することが可能となった。今年度はさらに球形樹脂微粒子含有ガムを用いた咀嚼機能の定量的評価法の確立を試みた。正常咬合者を被験者として測定値の再現性について確認を行ったのち、さらに顎変形症患者の被験者数を増やし球形樹脂微粒子含有ガムを用いて咀嚼機能評価を行い、咬合接触面積、咬合力の測定に加えて顎運動の軌跡についても測定を行い、それぞれ正常咬合者の値と比較検討を行った。その結果、顎変形症患者の咀嚼能率は、平均としては正常咬合者に劣るものの症例によっては正常咬合者と同等、もしくそれ以上の値を示すものもあった。これはガムの特色として、咬合接触面積の小さい顎変形症患者であっても、最もよく咬める部位で咬合を繰り返すことが可能な患者では高い咀嚼能力を有することが明らかとなり、本検査法の有用性が証明された。
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