2010 Fiscal Year Annual Research Report
上顎歯槽骨延長部への歯の移動と移植に高気圧酸素療法が与える影響
Project/Area Number |
21592592
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
川元 龍夫 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (50323704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 聖一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (90187732)
馬場 祥行 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 非常勤講師 (70251535)
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Keywords | 歯槽骨延長術 / 移植 / 高気圧酸素療法 |
Research Abstract |
骨延長術を利用した実験的骨欠損部の閉鎖を行い、延長部位に第二前臼歯の移動を行った際の歯根周囲の組織様相を組織学的・放射線学的に観察・解析する。また、歯の移動期間中は定期的に資料採得を行い、その経時的変化を記録する。 実験動物はビーグル犬を用い、口蓋裂患者の顎裂を想定した上顎切歯部に近遠心長10mmの実験的骨欠損部を作成した。実験的骨欠損作成1ヶ月後、犬歯を含む歯槽骨の骨切りを行った後、延長器を用いて同歯槽骨の近心移動により骨欠損部の閉鎖を図る、歯槽骨延長を施行後に、高気圧酸素(HBO)の有無により、以下のように実験群としてHBO適用群、対照群としてHBO非適用群の2群を設定した。 実験群:HBO適用群(移動速度1mm/日、移動日数10日間、HBO適用20目間) 対照群:HBO非適用群(移動速度1mm/日、移動日数10日間) HBOは工藤の方法に従い、動物実験用高気圧酸素装置にて行う。本装置は圧力チャンバーとO_2タンクからなり、気圧計により装置内の圧力を管理する,ハッチの開閉により動物の出し入れを行う。HBOは2.5ATAで60分純酸素吸入を行う。骨切り後100日後に新生骨へ第一前臼歯の移動を行い、その後3週間後の実験群ならびに対照群の2群に関して歯の移動に伴う歯根膜の変化様相と性状を組織学的手法ならびに放射線学的手法を用いて解析した。 結果では骨延長領域の骨化度をレントゲン写真から評価したところ、骨切り後90日後から有意にHBO群の方が高い値を示し、HBO適用群において骨化の促進が示唆された。また、Bone Stain染色後、組織切片の観察および骨形態計測を行ったところ,HBO群において骨形成と血管新生を示す指標が有意に高い値を示した。以上のことから高気圧酸素適応化で骨延長部位に歯の移動を行うことで骨形成と骨化が促進される可能性が示唆された。
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