2010 Fiscal Year Annual Research Report
歯の移動によって生じる痛みのメカニズムを探る新たなアプローチ
Project/Area Number |
21592596
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
村上 隆 岡山大学, 病院, 助教 (00534786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上岡 寛 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80253219)
山城 隆 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70294428)
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Keywords | グリア / 痛み / 歯の移動 / 共焦点顕微鏡 / 組織学的形態計測 |
Research Abstract |
本研究の目的は、実験的歯の移動時におけるアストロサイトおよびマイクログリアの痛み刺激に関する役割を解明し、グリア細胞と歯の移動による痛みの発生との関連を示すことである。平成22年度は、矯正治療に伴う痛みの発現機序を明らかにすることを目的として、実験的歯の移動による神経の活性化とグリア細胞の動態の関連性を調べるため、マイクログリアマーカーならびにアストロサイトマーカーと神経活性化マーカー(抗c-Fos抗体)の蛍光二重染色を行った。得られた共焦点顕微鏡像により、3次元立体構築を行い、形態計測用ソフトを用いてマイクログリアならびにアストロサイトとc-Fosとの共存関係を調べた。その結果、Waldo側ではControl側と比較しc-Fosの増加がみられた。さらにWaldo側ではc-Fos陽性の神経線維周囲にマイクログリア、アストロサイトの集積が認められた。実験的歯の移動により発現したc-Fos陽性細胞の周囲に、グリア細胞の集積が認められたことにより、グリア細胞が疼痛の伝達に関係している可能性が示された。また、痛み刺激の神経伝達への関与が示唆されている受容体であるVR1および神経ペプチドであるCGRPについて、三叉神経節における活性化を検討した。その結果、VRI陽性三叉神経節ニューロンはその大きさに変化を認めた。さらに、CGRP陽性細胞との二重染色から、歯の移動後に出現した多くの400μm^2以上のVR1ニューロンにおいてCGRPが発現しており、CGRPが実験的はの移動モデルにおいて、伝達物質或いは修飾物質として機能していると考えられた。これらの結果を元に、平成23年度はさらに、P2X4遺伝子発現およびタンパクの定性的・定量的解析を詳細に検討するため、in vivoにおいてmRNAレベルならびにタンパクレベルで検討する。in vitroの実験系においても同様に検討する予定である。
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