2009 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギーによる矯正的歯の移動時に伴う歯根吸収亢進機構の解明とその抑制
Project/Area Number |
21592600
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
五百井 秀樹 Kyushu University, 大学病院, 講師 (10274474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城戸 瑞穂 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (60253457)
名方 俊介 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (30037543)
高橋 一郎 九州大学, 歯学研究院, 教授 (70241643)
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Keywords | 歯学 / 矯正 / 歯根吸収 |
Research Abstract |
【目的】矯正治療中に起こる歯根吸収の機構は、いまだ解明されていない。我々は疫学調査から、その危険因子として喘息などのアレルギー疾患を疑い、昨年の本学会において、ラットアレルギー疾患モデルが、実験的歯の移動時に歯根吸収を亢進することを報告した。今回、更なる検討のため、歯の移動時における局所的な炎症性サイトカインの測定ならびに、Aspirinの効果について実験を行った。 【試料と方法】6週齢のBNラットにOVAを腹腔内投与し、アレルギー疾患モデルを作成した。14日後、上顎第一臼歯(M1)をcoil springにて近心側への牽引し、24時間後、3日後に屠殺後、M1周囲歯槽骨を一塊として採取し、タンパクを抽出した。その後、ELISA法にて抽出物中のIL-1β、TNF-αの発現量を検討した。また、同様に装置装着すると同時に250μg/mlのAspirinを経口投与し、7日後に組織切片を作成した。 【結果と考察】装置装着24時間後において、アレルギー疾患モデルの方が、OVA非感作の対照群と比較して、有意にIL-1β、TNF-α発現敬が増加した。また、Aspirin投与モデルについてTRAP染色を行い、M1遠心舌側根圧迫側を光学顯微鏡にて観察したところ、Aspirin非投与群と比較して、有意に破骨細胞数、破歯細胞数、歯根吸収窩面積の減少を認めた。 【結論】アレルギー状態が、実験的歯の移動初期における局所的な炎症性サイトカイン発現を亢進し、歯根吸収を促進させることが示唆されるとともに、これらがアスピリンによって抑制されることが示唆された。
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