2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21592606
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉松 昌子 Nagasaki University, 病院, 助教 (20420630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北浦 英樹 東北大学, 大学病院, 講師 (60295087)
吉田 教明 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40230750)
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Keywords | SHIP / 破骨細胞 / TNF-α / 矯正学的歯の移動 |
Research Abstract |
我々はこれまでにTNF-αの関わる骨吸収の研究において、矯正学的歯の移動のマウス実験モデルを確立し、歯根圧迫側について解析してきた。その中で、矯正学的歯の移動には、歯根圧迫側におけるTNF-αの関わる破骨細胞形成が関わっていることを示した。骨の吸収における破骨細胞の形成や活性、増殖、生存維持には、TNF-αやM-CSF、RANKL、その他多くのサイトカインが関わっていることが知られている。また、サイトカインが受容体を介して細胞内にシグナルを伝達するにはさらに様々な因子が関わっている。その中で、SHIP(Src homology 2-containing inositol-5-phosphatase=脂質脱リン酸化酵素)は近年注目されている因子の一つである。このSHIPは、破骨細胞形成に関して負の作用を示しながら、生体の骨量維持のために重要な役割を果たす。本研究では、SHIPと我々がこれまで研究を進めてきたTNF-αの関わる破骨細胞形成との関わりを解明することを目的としている。 21年度においてはin vitroにおける実験を施行した。野生型とSHIP欠損マウスの骨髄細胞を培養し破骨細胞形成を行う方法で、SHIPの有無による破骨細胞形成の相違を比較検討した。まず、野生型とSHIP欠損マウスの骨髄を採取し、TNF-α(50ng/ml)とM-CSF(50ng/ml)を作用させ4~6日間培養し、TRAP染色を施した。SHIP欠損マウスの骨髄細胞では野生型と比較しによる破骨細胞形成促進を示した。このことにより、in vitroにおいてSHIPは我々がこれまで研究を進めてきたTNF-αの関わる破骨細胞形成に関わりがあることが示唆された。 今後in vivoにおいても検討を進めていくことで、我々の大きな目的である矯正臨床における歯の移動、顎骨の成長コントロールのメカニズムの解明や、生体における様々な骨疾患の解明に新たな一歩を投じる大切な研究となるであろう。
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