2011 Fiscal Year Annual Research Report
メカニカルストレス下の歯周病原因子による歯根膜線維芽細胞のシグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
21592617
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
八木 孝和 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (10346166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松口 徹也 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10303629)
宮脇 正一 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80295807)
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Keywords | メカニカルストレス / ヒト歯根膜細胞線維芽細胞 / 細胞内シグナル伝達機構 |
Research Abstract |
本研究は、ヒト歯周組織構成細胞を用いて、メカニカルストレスによる細胞内シグナル伝達機構の一端を解明し、また、歯周病原因子である内毒素性リポ多糖(LPS)やその活性中心であるリピドAならびにリポタンパク質/リポペプチドに対する細胞応答性や、これら病原因子の認識にかかわる細胞受容体の発現に及ぼすメカニカルストレスの影響について明らかにすることを目的とした。樹立した歯根膜細胞株のうち、歯肉線維芽細胞と比較してHLAMHC-DR-αとMMP-1に強い陽性反応を示した2種類の細胞株を用いて、一軸方向に伸展刺激を細胞に加えた結果、ヒト歯根膜細胞ではMAPKシグナリングカスケードを介して炎症性サイトカインを発現することが確かめられた。また,歯周病原性因子による単独刺激を作用させると,同様のMAPシグナリングカスケードを介して、炎症性サイトカインの発現が示された。さらに、歯周病原因子下で物理的刺激を上記の細胞に作用させると、MAPKシグナリングカスケードが反応して、炎症性サイトカインの産生能が増強される現象が認められた。本実験では特にIL-8mRNAの発現が量とともに時間的に持続的な発現に対して強く影響を受けることが示唆された。これは,相乗・相加的に一意的に作用を増強するだけではなく,伸展刺激は細胞表面性状等に影響を与え液性因子に対する感受性に作用する可能性を示唆する。一方で、NF-κBの発現量は少なく、MCP-1の発現にもばらつきを認め、MAPKシグナリングカスケードの三種類の中でも発現時間に差が認められたことから、細胞受容体に変形を加えることの影響をより詳細に調べる必要性が生じた。臨床的に,歯周病に罹患している歯周組織に咬合性外傷や矯正力等の過大な伸展性メカニカルストレスが加わると,持続的な炎症作用が強く作用することを示していると考えられる。なお、今回得られた知見の一部については、咬合力の負荷による歯周組織の変化や咬合高径に与える影響として国内外の雑誌に発表した。
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