2009 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原細菌由来FDFの細胞への影響及び歯周炎病態への関与の解析
Project/Area Number |
21592620
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
荒川 真一 Tokyo Medical and Dental University, 歯学部附属病院, 助教 (20302888)
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Keywords | FDF / 歯周病 / 歯肉溝滲出液 / 抗FDF抗体 / 歯周病原細菌 / Tannerella forsythia |
Research Abstract |
歯肉溝滲出液中の抗FDF(Forsythia detaching factor)抗体価の測定 基礎的研究によりFDFがTannerella forsythiaの病原因子の一つとの証左が得られた。そこで、(1)歯周炎患者群と健常者群間の歯肉溝滲出液における抗FDF抗体レベルの比較、(2)歯周炎患者群における重度部位と健常部位との抗FDF抗体レベルの比較を行った。また当該部位の歯肉縁下プラークを採取しT.forsythia rRNAおよびfdf geneを同時にPCRにて検出した。その結果、歯周炎患者群と健常者群間では、前者において有意に高値を示した。一方、歯周炎患者群における重度部位と健常部位の抗体レベルを比較すると、後者において有意に高値を示した。この理由として、(1)歯周炎重度部位においては局所に抗体が存在するが、歯周病原細菌のプロテアーゼなどによって分解される、(2)重度部位局所での抗体産生量が減少している、の2つの機序が考えられる。また抗FDF抗体レベルとPPD,CALは負の相関関係を示した。これらの事実から、FDFにより中和抗体の産生が誘導され結果的にFDF活性が低下し悪化を免れた可能性も示唆される。 さらに、平均PPDとCALはT.forsythia 16S rRNAとfdf遺伝子の陽性部位において陰性部位よりも有意に高い値を示した。T.forsythia 16S rRNAとfdf遺伝子の陽性部位における抗FDF抗体レベルは両陰性部位のそれより有意に低い抗体レベルを示した。 本研究によりGCF中の抗FDF抗体レベルと歯周炎患者および健常者の歯周組織の状態の関連が示され、FDFが歯周炎に関係する主要な抗原であることが示唆された。さらに抗FDF抗体の防御作用が示唆され、自己抗体(抗体を健常部位から採取し接種)またはヒト型モノクロナール抗体の歯周ポケット内への局所投与が、治療法の一つとなる可能性が考えられる。
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