2010 Fiscal Year Annual Research Report
種々の血管系疾患に関与する歯周病原細菌の特定と検証
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21592621
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
梅田 誠 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (90193937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 芳徳 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (70280964)
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Keywords | 血管系疾患 / 動脈硬化 / モノクローナル抗体 / 免疫染色 / リアルタイムPCR / リンパ節 / 歯周病原細菌 |
Research Abstract |
本研究の目的は、種々の血管系疾患ごとに歯周病原細菌の局在を明らかにするため罹患血管組織中の歯周病原細菌の局在を検証することである。そのために、種々の血管疾患罹患部位において、歯周病原細菌DNAの存在を確認し、無染色病理標本に対し歯周病原細菌に対するモノクローナル抗体を用いて免疫染色を行い、罹患血管内のそれぞれの歯周病原細菌の局在を検索した。まず、P.gingivalisおよびT.forsythiaに対する特異的なモノクローナル抗体を作成することができた。これを用いて、動脈硬化部位から作成したパラフィン切片標本中において、免疫染色によって、P.gingivalisが検出された標本が認められたが、その頻度は49例中わずか1例であった。一方、新鮮な動脈標本を用いた場合は、6例中P.gingivalisが2例、T.forsythiaが3例検出されたことから、標本作製の過程におけるサンプルの劣化が疑われた。口腔から末梢血管へ歯周病原細菌が運ばれても、量的にごくわずかであることから、途中経路として考えられる、頭頸部のリンパ節において歯周病原細菌の検出を検討した。66名の顎顔面部腫瘍患者66名において頭頸部リンパ節からリアルタイムPCR法を用いて歯周病原細菌5菌種の検出を行った。顎下およびオトガイ下リンパ節サンプルのうちP.gingivalisが18%、T.forsythiaおよびP.intermediaがそれぞれ8%検出された。それぞれの歯周病原細菌の検出と、癌のステータス、抗癌療法、性別との間に有意な相関は認められなかった。このことから 歯周病原細菌のリンパ節への移動は、癌のステータス、抗癌療法の違い、性別と関係なく起こったと考えられる。これらの研究によって歯周病原細菌の血管への移動経路の解明の一端が明らかになった。
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