2009 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロデバイスを用いたカルプロテクチン測定による歯周病診断法の開発
Project/Area Number |
21592625
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
木戸 淳一 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (10195315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 俊彦 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (10127847)
板東 美香 徳島大学, 病院, 助教 (10510000)
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Keywords | マイクロデバイス / カルプロテクチン / 歯肉溝滲出液 / 歯周病診断 |
Research Abstract |
本研究は,申請者がすでに歯周炎との関連を報告しているカルプロテクチンについて,微量な歯肉溝滲出液中のカルプロテクチン量をマイクロデバイスを用いて迅速に測定し,歯周病診断に応用するための方法の開発を目指すものである。本年度は,マイクロ化学チップ上での2種類の抗カルプロテクチン抗体を用いた抗原抗体反応によるカルプロテクチン検出および定量測定系の構築を行った。その結果,住友ベークライト社製マイクロ化学チップ(BS-X2320)の流路上に1次抗体として抗ヒトカルプロテクチン抗体(クローンIDCP2)および2次抗体としてホースラディッシュペルオキシダーゼ標識抗カルプロテクチン抗体(クローン27E10)を用い,免疫反応物を化学発光剤で検出し,その強度を化学発光測定装置(ライトキャプチャー)で測定することにより市販のカルプロテクチンELISAキットの測定限界と同等の濃度(5ng/ml)のカルプロテクチンを検出し,測定することが可能となった。この測定系に必要なサンプル量は従来のELISA法の場合の1/10以下であり,測定時間についても従来法の1/2程度の約2時間で測定が可能となった。また,マイクロ化学チップ流路の流路間の測定誤差およびチップ間の誤差を検討した結果,それぞれ12.0%と17.7%でやや誤差が大きく今後,送液操作の改善等が必要と考えられる。また,現時点での方法を用いて歯肉溝滲出液中のカルプロテクチン量を測定した結果,健常部位および歯周病部位からの歯肉溝滲出液サンプル(n=10)のすべてで測定が可能であり,市販ELISAキットによる測定値との間に有意差は認められなかった。今後,測定時間のさらなる短縮化および測定誤差の改善を行う必要がある。このようなマイクロデバイスを用いた微量な生体サンプルの測定法の開発は,高精度で客観的な歯周病の診断に貢献するばかりでなく,微量な歯肉溝滲出液中の疾患マイカーの測定による,様々な疾患診断に役立つ可能性がある。
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