2009 Fiscal Year Annual Research Report
2相性作用型再生移植材と細胞移植によるインプラント周囲炎治療法の確立
Project/Area Number |
21592629
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
松山 孝司 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (40253900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉元 剛彦 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (60419653)
宮本 元治 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (50452941)
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Keywords | PLGA / マイクロカプセル / 担持率 / 徐放 / SEM |
Research Abstract |
近年、組織再生を目的として細胞増殖因子を用いた治療方法が注目されている。加水分解性を持つポリ乳酸-ポリグリコール酸共重合体(poly(L,D-lactic-co-glycolic acid : PLGA)は、組織工学の分野で広く使用されており、タンパク質をマイクロカプセル化し徐放することが可能とされている。 本研究の目的は、growth differentiation factor-5(GDF-5)マイクロカプセルとbasic fibroblast growth factor(b-FGF)リコンビナントヒトコラーゲンゲルを用いた2相性作用型再生移植材と骨芽細胞移植による骨再生効果を評価することである。われわれはまず、PLGAマイクロカプセルへのタンパク質担持率を向上させるための手法を開発することにし、その特性を調べ、細胞増殖因子の効率的な徐放を図ることにした。これまでのDouble emulsion solvent evaporation techniqueを用いたわれわれのPLGAカプセルへのBovine serum albumin(BSA)担持率は、約10%であった。そこで、さらなるタンパク質担持率の向上をめざして、乳化作製に超音波を用い、ポリ乳酸-ポリグリコール酸共重合体(50:50、MW5000)を用いることで、担持率を49.4%まで向上させることができた。そこで、この手法を用いてBSAを担時させたマイクロカプセル(BSAカプセル)と担持させてないマイクロカプセル(PLGAカプセル)を作製し、表面形状をScanning electron microscopy (SEM)にて観察した。 PLGAカプセルの形態学的特徴は、SEM像では多孔性かつ滑らかで均質的な表面形状が観察されたのに対してBSAカプセルの形態学的特徴は、凹凸で、広大な孔を多数有した不均一な形状であることが観察された。BSAカプセルからの37℃、生理食塩水中タンパク徐放試験においては、タンパク放出は6日目までは計測されず、それ以降、直線的に増加した。完全な溶解までは、21日を要した。 細胞増殖因子をマイクロカプセル化することは細胞増殖因子の短時間での拡散、変性、分解を防ぎ、かつ長期間にわたる細胞増殖因子の放出を可能にし、細胞の増殖促進や活性化を亢進させる可能性があるため、今後、GDF-5、b-FGF、BMP-2を組み合わせた2相性作用型再生移植材の開発に着手していく。
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