2010 Fiscal Year Annual Research Report
安静時唾液量の低下因子の解明と口腔乾燥症予備軍の悪化予防処置の開発について
Project/Area Number |
21592650
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
原 久美子 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (30397955)
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Keywords | 唾液腺マッサージ / 口腔乾燥症予備軍 / 安静時唾液量 / 口腔保健 / 口唇閉鎖力 |
Research Abstract |
適正な安静時唾液量の維持は,人々の口腔保健の維持向上およびQOLの向上には不可欠である。しかし,近年の調査から高齢者のみならず若年者においても口腔乾燥者がみられ,将来的に口腔乾燥症への移行が予測される。そこで,安静時唾液分泌に影響する因子を解明するとともに安静時唾液量を確保する方策を検討することは,健康な社会生活を送る上で重要である。 今年度は,女性の若年者および高齢者の安静時唾液分泌量及び唾液腺マッサージ効果とストレス・ホルモンや性ホルモン濃度変動との関連について調べた。さらに生活アンケートとの関連についても検索した。 1.安静時唾液分泌量が少ない群では、高齢女性と若年女性グループともに唾液コルチゾール濃度が高かった。安静時唾液分泌量が低い若年女性グループでは唾液プロゲステロン濃度や唾液テストステロン濃度は高かった。 2.自分自身での唾液腺マッサージ(自己マッサージ)で若年女性グループの唾液分泌量は増加傾向を示した。唾液コルチゾール濃度は安静時唾液量の多い群で増加した。唾液プロゲステロン濃度は安静時唾液分泌量の多寡に関わらず減少し、唾液テストステロン濃度は増加した。高齢女性グループでは安静時唾液分泌量の少ないグループで自己マッサージにより唾液分泌量と唾液コルチゾール濃度が増加傾向を示した。 3.口唇圧は、高齢女性グループは若年女性グループに比べて低かった。若年女性グループでは安静時唾液分泌量の多い群で口唇圧は高かった。 4.今回の食習慣や生活習慣のアンケート項目で安静時唾液分泌量の多寡との相関を示す項目もみられたが、さらに検討が必要である。 以上の結果から,安静時唾液分泌量の調節と性ホルモンやコーチゾールの関連が示唆されたが、さらに安静時唾液量の調節に寄与する因子を来年度に検索することが必要である。
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