2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21592651
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
吉岡 昌美 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (90243708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日野出 大輔 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (70189801)
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Keywords | 口腔保健 / 嚥下食 / 口腔衛生状態 / 唾液分泌量 / う蝕活動性 / 口腔内残留 |
Research Abstract |
今年度も昨年度に引き続き、周術期に経腸栄養剤を飲用し、術後絶食から一定期間嚥下食摂取をする食道がんの患者を対象として術前の栄養剤摂取前(E1)、術前3日前の栄養剤摂取中(E2)、術後8日後の嚥下食摂取前(E3)、嚥下食摂取期間中(E4)、E4より食形態が向上した時点(E5)g)5つの時期で口腔内診査、唾液分泌量測定、う蝕活動性試験、Plaque Indek測定等を行った。調べた30名のデータをもとに統計学的に分析した結果、E3では唾液分泌量や唾液中のミュータンス連鎖球菌数が低下していることが分かった。その後の時点では唾液分泌量の回復と比較して、ミュータンス連鎖球菌数やPIは嚥下食摂取開始とともに早い時点で増加することが分かった。このことから、術後の嚥下食摂取状況下では歯垢細菌が増加し、う蝕や歯周病のリスクが大きくなることが示唆された。 一方、基礎研究としてとろみ調整水とゼリー状食品の口腔内残留量を客観的に評価するとともに、それらの口腔清掃性について調べた。嚥下障害のない健常な成人13名を対象に、被験食品を一定条件で摂取してもらった後の洗口吐出液の濁度(660nmの吸光度)をもって口腔内残留量とした。その結果、とろみ調整水もゼリー状食品も小さじ1杯を摂取することで、先に摂取したクッキーの残留を半減することが分かった。クラッシュゼリー状の食品を用いて、摂取量、摂取(嚥下)回数、咀嚼の有無などの条件について比較検討した結果、ゼリー状食品を咀嚼して食べた方がより口腔清掃性を発揮することが分かった。また、2倍量(大さじ1杯)を1回摂取するよりも、1倍量(小さじ1杯)を2回摂取する方が残留量を効果的に減少させることが分かった。 以上のことから、嚥下食摂取が長期に続くときには口腔衛生管理が重要で、また、嚥下食摂取の際には口腔内残留を考えた食事の指導を行うことも重要であると考えた。
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