2011 Fiscal Year Annual Research Report
大規模集団に適応できる口腔内細菌叢解析システムの構築
Project/Area Number |
21592652
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中野 善夫 日本大学, 歯学部, 准教授 (80253459)
|
Keywords | 細菌叢 / 16S rRNA / T-RFLP |
Research Abstract |
前年度までに、モンテカルロ法を用いた菌叢解析法による菌種推定とそれぞれの割合の予測を行なったが、今年度は、データベースの更新・充実と、T-RFLP解析システムのウェブ公開、およびpyrosequence法での菌叢解析を行なった。口腔内細菌および腸内細菌の16S rRNAの配列情報を基にT-RFLP解析のために4塩基認識制限酵素による切断断片長データベースを構築し、その断片データベースを利用したT-RFMAW解析システムを開発して公開(http://trflp.info/trfmaw/)した。また、これらの16S rRNA遺伝子配列データベースを2008年に発表した解析システム(J. Microbiol. Methods 75:501-505)で利用できるように設定した(http://trflp.info/bptrfma/main.html)。 これまで研究費の制限からT-RFLP法を優先して用いて菌叢解析に活用する有効性を主張してきたが、この一年間でpyrosequence法による配列解析の価格が低下し、T-RFLPに近づいてきた状況を踏まえ、16S rRNA遺伝子断片の塩基配列情報による菌叢解析を進めてきた。 塩化亜鉛は洗口剤の口臭抑制成分として利用されている。その効果は揮発性硫化物と結合し不揮発化することによるという報告があるが、一方で亜鉛イオンが一部の菌の増殖に対して強い抑制効果を発揮するという報告もある。まず20名を対象に、亜鉛イオン水溶液による一日3回の洗口が口腔内の細菌叢にどのような影響を与えるかを調べたところ、菌叢全体の構成には大きな影響を与えることなく、Porphyromonas属細菌、Fusobacterium属細菌など、口臭の原因菌として報告されている数種の菌種を特異的に有意に減少させることが明らかとなった(135回歯科保存学会2011年10月)。さらに対象人数を増やし、220名の口臭測定と菌叢分析を行い解析した。その中から43名の結果を用いてメチルメルカプタンと硫化水素を特異的に発生させる細菌層の特徴を明らかにすることができた(Sci.Rep.2:215)。これらの研究を通して、口腔内細菌の数百人レベルでの菌叢解析が日常的に行なえるシステムを確立できた。
|
Research Products
(4 results)