2011 Fiscal Year Annual Research Report
口腔連鎖球菌の二成分制御系による薬剤排出機構の解明
Project/Area Number |
21592653
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
塩田 進 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教 (00150467)
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Keywords | 細菌 / シグナル伝達 / 発現制御 |
Research Abstract |
細菌の二成分制御系と連動した薬剤排出機構は抗生物質だけではなく、他の化学物質もその基質としている可能性があり、その正確なメカニズムを解明する事は病原微生物の薬剤耐性機構を理解する上で重要である。本研究ではS.mutansで見いだされたバシトラシン耐性に関する二成分制御系を検証している。 昨年度までに、この二成分制御系のレスポンスレギュレーター(RR)がバシトラシン耐性に関与するABCトランスポーター遺伝子のプロモーター領域に特異的に結合する事、この結合にはRRの54番目のアスパラギン酸が必須であり、リン酸化の部位である事を示した。 本年度はこのバシトラシンによって発現が誘導されるABCトランスポーターが、他の薬剤に対する耐性に関わっているかを検討するため、既に作製している二成分制御系のヒスチジンキナーゼ(HK)の欠損株を用いて、各種の抗生物質や消毒剤に対する感受性を調べた。その結果、抗生物質ではゲンタマイシン、ミノマイシン、ストレプトマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、リファンピシン、バンコマイシン、ナリジクス酸に関しては野生株UA159との間に差は見られなかった。また消毒剤等については塩化ベンザルコニウム、ヒビテン、エチジウムプロミド、SDSに対しても野生株と同様であった。 次にこの二成分制御系によって誘導される他の遺伝子の存在を検討した。バシトラシン刺激によって発現が4倍以上増加する遺伝子をリアルタイムRT-PCRで検索し、機能未知の二つの単独遺伝子と三つの遺伝子からなる1つのオペロンをデータベース上で同定した。これらの遺伝子のプロモーターと考えられる領域には、上記のABCトランスポーター遺伝子のプロモーターに存在する逆反復配列と同じ配列が見られ、転写制御を受けている可能性が示唆された。これらの遺伝子のin vivoでの役割に興味が持たれる。
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