2009 Fiscal Year Annual Research Report
新しい解析技術を応用した歯髄・歯石DNAからの迅速・簡便な遺伝子型判定
Project/Area Number |
21592663
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
堤 博文 Nihon University, 歯学部, 専任講師 (30188594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小室 歳信 日本大学, 歯学部, 教授 (50139200)
伊澤 光 日本大学, 歯学部, 助教 (30514103)
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Keywords | 蛍光消光現象 / ABO式遺伝子型検査 / QProbe / SNPタイピング / Melting curve |
Research Abstract |
本年度は,ある種の蛍光色素にグアニン塩基が近づくと蛍光度が減少する「蛍光消光現象」を利用し複数遺伝子の同時検出が可能であるQP(Quenching Probe/Primer)法によりSNPタイピングを行い,遺伝子型検出による血液型判定法について検討した。 【試料】試料は当教室に保存された血液型既知の血痕を加水分解型プローブPCR法によりABO式遺伝子型が判明した24例を用いた。 【方法】ABO式遺伝子型検査には261番塩基の欠失および703番と796番の塩基置換を識別するプライマーとプローブを作製し,プローブは波長の異なる3種類のQProbe(蛍光消光プローブ:J-Bio21社)を用いて3つのSNPを同時にタイピングできるように設計した。反応溶液はLightCycler480ジェノタイピングマスター液(ロシュダイアグノスティックス社)にウラシル-DNAグリコシラーゼ(ロシュダイアグノスティックス社)を添加して用いた。DNA増幅・解析装置はリアルタイム定量PCR解析システムMx3000P(アジレント社)を用いた。PCR条件は初期の熱変性を95℃・10分行った後,熱変性95℃・10秒,アニーリング59℃・20秒,伸長72℃・10秒を50サイクル行い,Melting curveを作成し解析を行った。 【結果および考察】 本法によりすべての血痕からABO式遺伝子型を判定することが可能であった。従来のABO式遺伝子型検査は,加水分解型プローブPCR法を含め繁雑な手技を経て結果を得ていたが,本法は3種類のQProbeを用いて,一回のPCRで3ヶ所のSNPsを同時に検査することにより,ABO式遺伝子型の判定を可能にした。従来法に比べて非常に簡便・迅速になり,今後,血液遺伝子型を判定する方法として法医学分野のみならず他の領域においても有用性は高いと思われる。 なお,本研究の成果について,日本DNA多型学会・第18回学術集会で発表した。
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