2010 Fiscal Year Annual Research Report
要介護高齢者のための口腔細菌叢改善用カテキンジェルの開発
Project/Area Number |
21592664
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
田村 宗明 日本大学, 歯学部, 助教 (30227293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 潔 日本大学, 歯学部, 助教 (30313076)
落合 邦康 日本大学, 歯学部, 教授 (50095444)
泉福 英信 国立感染症研究所, 技官 (20250186)
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Keywords | 医療・福祉 / 衛生 / 歯学 / 老化微生物 / 老化 / カテキン |
Research Abstract |
申請者らが新開発したカテキンジェルはin vitroにおいてう蝕、歯周病、Candida症および化膿性炎症の原因菌に抗菌効果を示し、自然免疫の一助で口腔を正常に保つレンサ球菌には示さないことが明らかとなり、高齢者社会における局所・全身疾患の予防、健康におけるQOLの向上に十分寄与できる可能性が考えられた。そこで今年度はin vitroでのカテキンジェル抗菌効果実験として、義歯性口内炎や誤嚥性肺炎の原因菌の一つであるCandida albicansに対する抗菌機序について検討した。一方、in vivoでは藤田保健衛生大学七栗サナトリウムにおいて先年報告した4週間、カテキンを含まないジェル(プラセボジェル)もしくにカテキンジェルを塗布し、塗布前と後の総菌数とカンジダ属菌数をコロニー算定法の2期目の実験を行った。 In vitroにおいて、カテキンジェルはCandida albicansに対して殺菌より静菌効果を示していた。カテキンジェルによりATP産生量が著しく減少し、病原性発揮のための菌糸形変換が抑制されていた。また、菌糸形変換に関わる細胞内シグナル、MAP kinase系とPKA系の両方の伝達系を抑制していた。さらにC.albicansの病原因子である付着タンパクならびにタンパク分解酵素の産生に関与するmRNA量の顕著な減少も確認した。一方、in vivoでの藤田保健衛生大学七栗サナトリウム臨床治験の結果、患者数が増えてもプラセボジェル塗布では総菌数ならびにカンジダ属菌数に変化は認められず、カテキンジェル塗布においても総菌数に変化は見られず、反対に、カンジダ属菌数はカテキンジェル塗布により有意に減少し、再現性を得た。これらの結果から、カテキンジェルの臨床応用の可能性が十分確認された。
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