2009 Fiscal Year Annual Research Report
抗菌薬・漢方薬による歯周疾患治療法の画一化とガイドラインの確立
Project/Area Number |
21592671
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
王 宝禮 Matsumoto Dental University, 歯学部, 教授 (20213613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 泰弘 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (00339136)
藤波 義明 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (80392801)
吉成 伸夫 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (20231699)
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Keywords | 慢性歯周炎 / 抗菌薬 |
Research Abstract |
歯周病は近年バイオフィルム感染症と認知された。歯周病は心臓病・高血圧・糖尿病等といった全身疾患と密接に関係する。歯周病はその原因菌から産生される毒素リポポリサッカライド(LPS)などの刺激により発症する慢性炎症疾患である。ヒト歯肉線維芽細胞(HGFs)を歯周病原因菌由来LPSで刺激すると炎症性サイトカインが産生されるが、これはHGFsのToll様受容体を介していることが判明した。また、LPS刺激で産生される炎症性サイトカイン量は、健常者由来HGFsよりも歯周病患者由来HGFsで多いことが認められた。これは主たる歯周組織HGFsが単球・マクロファージと同様に自然免疫担当細胞であることを示唆する。この様に、宿主の正常な生体防御を超えた過剰な免疫応答は炎症・骨吸収を引起すものと考えられる。 これまでに、in vitroバイオフィルムにおいて、臨床的に使用されているテトラサイクリン・マクロライド系抗生物質の有効性について明らかにした。また、侵襲性重度歯周炎患者にマクロライド系抗生物質アジスロマイシンを投与することにより、ポケット深4mm未満が約6倍増加し、プロービング時出血は1/4に減少した。これらは、重度歯周病治療の基礎・臨床的側面から抗菌薬のバイオフィルム破壊への有効性を示唆した。 そこで本研究は、歯周病における抗菌薬の処方や治療方法を具体的に確立・画一化するために、多数の患者に抗菌薬治療を施し、治療経過を基礎・臨床的側面から審査する。全国の歯科医師協力体制の下、歯周病患者のスケーリング・ルートプレーニング(SRP)前、再SRP前、抗菌薬投与前のサンプリングを行った。治療経時的に唾液を回収し、現在34名中24名分の検体について唾液中に存在する幾つかの歯周病原因菌の数を定量PCR法により測定した。引続き、サンプル採取及び解析を行っていく予定である。
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