2011 Fiscal Year Annual Research Report
市民のウエルネスと継続参加を目的とした模擬患者バーデン尺度と教育実践ガイドの開発
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21592690
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
會田 信子 名古屋大学, 医学部, 准教授 (80291863)
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Keywords | 模擬患者 / 市民 / ウエルネス / 教育 / 尺度開発 |
Research Abstract |
本課題の目的は、今後も実践的医療者教育において重要な役割を担う市民模擬患者(以下SP)のストレス状態を包括的に測定する模擬患者用ストレス調査票(以下SPSSQ(仮))を開発し、信頼性・妥当性を検証することである。平成23年度は、研究の第2回目調査として、測定項目の尺度化(因子構造の確認と実践的利便性を考慮した項目の整理)を実施した。平成23年9月にSP団体44に調査を依頼し、調査協力が得られた38団体(86.4%)に466名分の調査用紙を配布した。回収数379名(86.4%)のうち、有効回答363名(95.8%)を分析対象とした。 ストレス反応(計24項目)とストレス要因(計63項目)の因子数の決定にあたっては、項目分析(天井効果とフロア効果、正規性の検定、I-T相関、I-R相関)の後、Cronbachのα信頼性係数と因子分析(最尤法による因子抽出とプロマックス回転)を繰り返し実施し、最終的な因子分析の結果を出力した。 その結果、ストレス反応の質問項目は22項目で4因子構造、ストレス要因は53項目で7因子構造が抽出された。ストレス反応の4因子は【1:疲労感】【2:イライラ感】【3:情緒的消耗感】【4:無気力感】と、ストレス要因の7因子は【1:学習者・教育者の態度】【2:SPの養成・演技訓練】【3:SP活動の意義】【4:SP役割】【5:実演の質量】【6:SP間関係】【7:教育環境】と解釈できた。 平成24年度の尺度の信頼性・妥当性を検証にあたっては、(1)因子負荷量0.4未満の項目および自由記載の内容をもとに、質問紙の項目表現を吟味すること、(2)ストレス反応を予測するためのストレス要因の選択肢の検討、(3)調査の特性上、対象者の社会的に望ましいと思われる回答する反応傾向(Social desirebility)や、盲従傾向(acquiescence)、および調査に対する負担などから生じる「いわゆるでたらめ応答」を回避するための本年度の課題を、次年度調査に反映させていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
尺度開発にかかる対象者数の確保については、共同研究者の協力により、送付先SP団体への協力依頼が可能であったこと、倫理委員会への申請・審議で予定通りの期間内で承認が得られたこと、対象者からの質問紙への回答記述および返送が期間内で目標数を達したことが考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も標本抽出にあたっては、震災地域を除くより全国規模の調査を実施する。平成22~23年度の第1~2回目調査については、SP教育が活発に行われている関東地方(42.2%)と近畿・中国地方(21.4%)の割合が多かった。母集団の特性をより反映するために3来年度の調査では、活動歴が様々なSP団体に調査協力を依頼し、医学教育白書で把握されているSP人口1,000名前後のおおよそ5~6割を目標とする。
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Research Products
(2 results)