2011 Fiscal Year Annual Research Report
外国人モスレム看護師の倫理観と受け入れ側の対策に関する基礎的研究
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21592724
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
細谷 幸子 東邦大学, 看護学部, 助教 (60516152)
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Keywords | 看護倫理 / 宗教 / イスラーム / 外国人看護師 / インドネシア |
Research Abstract |
本研究は、日本国内で看護師として働く外国人モスレムの倫理観を、イスラーム諸国の看護の状況を踏まえた上で、イスラーム法の規範との関連から理解し、外国人モスレム看護師を受け入れるための課題と対策を明らかにすることを目標としている。 平成23年度は最終年度にあたる。そこで、これまで得た情報を総合的に理解するため、イラン(5月)とインドネシア(8月)に渡航し、看護倫理とイスラーム法に関する追加情報を収集することで、宗派間・二国間比較のための考察を深めた。インドネシアでは集中的な現地調査が可能になったため、現地のモスレム看護師が渡航先として考える国々(日本、アメリカ、イギリス、オランダ、フィリピン、タイ、マレーシア、サウジアラビア)で就労・就学経験をもつ関係者にインタビューをおこない、選択の理由を調査した。また、現地で看護師が働く病院以外の施設(老人ホーム、孤児院)を訪れ、看護師の職域を調査した。さらに、日本で看護師国家試験を受験し合格した者も含め、在日インドネシア人モスレム看護師に対してインタビューをおこなった。 これまでの研究から、インドネシア人モスレム看護師は看護師の仕事をイスラームの倫理観と結び付けて理解しているが、来日したインドネシア人モスレム看護師が日本で直面している問題は、宗教的な価値観からくる習慣の違いというよりは、むしろ専門的知識・技術の保有者として正当に評価されないことに起因する問題であることがわかった。この原因として、来日したインドネシア人モスレム看護師が渡航目的をキャリアアップととらえる傾向と、日本の制度上の位置付けとの間に齟齬があることが考えられた。 12月にはロンドン大学主催の国際ワークショップ(於・イスタンブール)に参加し、発表の一部でインドネシアのイスラームと看護倫理に関する研究成果に触れ、各国のイスラーム研究者と意見を交換した。
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Research Products
(1 results)