2010 Fiscal Year Annual Research Report
大規模災害事例に基づく災害看護学の実践的知識の開発
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21592725
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Research Institution | Japanese Red Cross College of Nursing |
Principal Investigator |
川原 由佳里 日本赤十字看護大学, 看護学部, 准教授 (70308287)
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Keywords | 災害看護 / 基礎看護 / 歴史研究 / 災害史 / 濃尾震災 / 明治三陸海嘯 |
Research Abstract |
本研究の目的は、近代以降の日本の大規模災害における医療実践事例を歴史的研究手法により掘り起こし、現代の災害医療の論点とリンクさせることにより、国内外の災害看護に活用できる実践的知識を開発することである。今年度は1891(明治24)年濃尾震災における医療救護について、調査結果をまとめて学会誌に論文発表し、続いて明治三陸海嘯(明治29年)における災害医療と看護に関する調査を行い、分析の視点を明らかにするため、近年の大規模災害における災害医療と看護に関する文献の調査と、関連学会で講演及び意見交換を行った。 1891(明治24)年濃尾震災では、帝国大学医科大学、府県立病院・医学校、日本赤十字社、東京慈恵医院、順天堂医院の他、多くの基督教系の大学が医療に携わった。外部から大勢の医療関係者が訪れたことで、逍遙治療や過剰医療などの問題も生じたが、現地医療の復興支援の必要性も明らかになり、看護婦という職業を知らしめるきっかけともなった。1896(明治29)年の明治三陸海嘯における医療救護の調査からは、明治21年磐梯山噴火から約10年の間に起こった災害における医療実践を通じて得られた実践的知識を明らかにすることを試みた。結果は学会で発表し、現在、論文作成中である。 日本赤十字看護学会の災害看護活動委員会では、「歴史に見る災害看護」の講演を行い、現代の災害医療に携わる看護師から貴重な意見をもらった。これらの学会セミナーでの学びは最終的な史料分析の視点として活かしていく予定である。
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