2011 Fiscal Year Annual Research Report
医療の意思決定プロセスにおける患者・家族と共にある日本の看護実践モデルの構築
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21592732
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
伊東 美佐江 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (00335754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TURALE Susan 山口大学, 医学(系)研究科, 教授 (30420516)
掛田 崇寛 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (60403664)
村上 京子 山口大学, 医学(系)研究科, 准教授 (10294662)
服鳥 景子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (10335755)
林 信平 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 助教 (90515785)
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Keywords | 意思決定 / 患者の自律 / 家族 / 看護倫理 / 看護実践モデル |
Research Abstract |
本研究は、医療に対して行う重要な倫理的意思決定において、患者・家族の自律性への好み、家族関与の実態とその影響要因や家族機能との関連性、および患者や家族と看護師の意思決定様式に関する認識を明らかにし、医療の重要な意思決定プロセスにおける患者・家族と共にある日本の看護実践モデルを構築することを最終的な目的としている。 平成23年度は、一般成人20組を対象に無記名自記式質問紙調査を行い、医療の意思決定の意向は「医師や家族とともに十分に相談した後に、患者さんが最終的に決める」が最も多く、患者に意思決定能力がある場合でも代理決定を行ってもよいと大半の者が回答した。脳卒中では自己の意思決定度が低く、末期がん時の自分の意思決定度は最も高く家族・医師よりも高かった。早期がんの意思決定度に職業や宗教、家族機能の側面が影響していた。また、Decision Control Preferences Scale(DCPS)は、一般成人のペアで意思決定度に相違がみられた。 一方、4つの小規模病院に勤務している看護師108名の無記名自記式質問紙調査から、病名未告知の依頼を受けた看護師は約5割、予後未告知の依頼は2割に経験があり、スタッフナースだけでなく管理者にも依頼を受けた経験があった。臨床看護師は、患者の意思決定には最終的に患者自身の意思を尊重したいものが大半であり、医療の意思決定プロセスには家族の役割があり、看護師のジレンマが想定される。 さらに、「看護実践の倫理-倫理的意思決定のためのガイド」の共著者であり、国際的に活躍しておられる看護倫理学者である、Megan-Jane Johnstone教授に、10月17日「人間の死に対する恐怖とその終末医療における倫理的意思決定への影響」と題して講演を行った。倫理的意思決定について、終末医療における死の恐怖の影響や文化的相違についてJohnstone教授とともに討議した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一般成人のペアでご協力をいただける研究参加者の方の確保が難しく、臨床看護師への調査も同時に行ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、総合病院で現に健康問題を持って入院して8週間以内の患者から研究参加者を募る。1病院で研究参加者が十分に得られなければ、できるだけ早期に別の病院に協力を依頼する。また、交流集会もしくはシンポジウム等を企画し、医療に対して行う重要な倫理的意思決定において、患者・家族の自律性への好み、家族関与の実態とその影響要因や家族機能との関連性における本研究結果を公表するとともに、医療の重要な意思決定プロセスにおける患者・家族と共にある日本の看護実践モデルへの示唆を得る。
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Research Products
(5 results)