2010 Fiscal Year Annual Research Report
慢性呼吸不全患者の急性悪化に関する関連性評定に基づく質的分析
Project/Area Number |
21592771
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Research Institution | Baika Women's University |
Principal Investigator |
長尾 淳子 梅花女子大学, 看護学部, 講師 (30269724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 ミヨ子 聖マリア学院大学, 看護学部, 教授 (10199763)
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Keywords | 慢性呼吸不全 / 急性悪化 / 質的分析 |
Research Abstract |
本研究の目的は、慢性呼吸不全患者の急性悪化をきたす誘因となる療養行動を明らかにすることである。慢性閉塞性肺疾患(COPD)を有する慢性呼吸不全患者を対象に半構成的面接法によるインタビューを行った。対象者は男性7名で、年齢は70歳代3名、60歳代3名、50歳代1名であった。急性悪化に先行する通常とは異なると感じた身体状態として、"いつものように動けない""身体がだるい""痰が切れなくなる""寒気を感じた""熱っぽい""頭痛がする""息がしにくい"の7つのカテゴリーが抽出された。しかし、症状や兆候を捉えていても"様子を見る""ずっと寝ている"など必ずしも受診行動につながっておらず、「受診判断の遅れ」が急性悪化をきたす誘因となることが明らかとなった。急性悪化に先行して起きた環境上の変化として、"行事への参加""居住環境の変化""仕事上での無理""感染者との接触""マスクの装着忘れ"の5つのカテゴリーが抽出され、「無理を強いる生活をした」ことや「呼吸器感染に対する予防行動の怠り」が呼吸器感染症状の出現につながっていることが明らかとなった。また、"家族のすすめで受診した"など家族のサポートを受けている一方で、"じっとしていると苦しく見えないので動かざるを得ない状況になる"など家族の知識不足があることも明らかとなった。さらに、急性悪化を起こさないための指導として、定期受診時の医師からの指導、理学療法士による呼吸リハビリテーションの指導を受けていたが、看護師からの教育を受けたことの認識がある患者は少なかった。これらのことより、看護師が患者および家族に対してより効果的に教育を行うことの必要性が示唆された。関連性評定分析ついては、質的データを数量化III類と形式概念解析で数量的に分析するため、今年度はサンプル数が少なく十分な分析ができなかった。次年度は、より具体的な質的データを多く収集し分析をすすめていく予定である。
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