2010 Fiscal Year Annual Research Report
難治性がんを生き抜く患者・家族への実践的看護モデル開発に関する基礎的研究
Project/Area Number |
21592784
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Research Institution | Japanese Red Cross College of Nursing |
Principal Investigator |
吉田 みつ子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 准教授 (80308288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守田 美奈子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (50288065)
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Keywords | 難治性がん / がん看護 / 患者・家族支援 |
Research Abstract |
本研究は、いわゆる難治性のがんと診断され、治癒を目的とした治療を望むことの難しいがん患者とその家族が、主体的に治療の選択を行い、生きることができるような全人的なケアを行うための実践的な看護モデルを開発することを目的とする。具体的には、1)患者・家族の体験、ニーズの明確化、2)専門職者の経験事例や困難事例に関する分析結果をもとに、難治性がんの患者・家族の体験と求められる看護を構造化、疾患の経過に伴う患者・家族の体験に沿った求められる支援内容や支援目標、具体的な患者・家族の体験事例、専門職者の支援体験事例を加えた看護モデルを作成することである。平成22年度は、上記のうち 1)21年度から継続してインタビューを実施している膵臓がん患者1名に3回のインタビューを実施した。2)患者支援センター、緩和ケアチーム、化学療法室等に所属する専門看護師、認定看護師に5名にインタビューを実施した。現在までの分析の結果、患者の体験の特徴としては、「再発の兆しの中で薄氷を踏み、常に崖っぷちを歩く」「最悪を想定し最善を図るために自分で治療法を求め動き続ける」「主治医は万能ではないが期待も抱く」「膵癌患者同士の遠慮と罪悪感、仲間の病状に自分を重ねる」という体験の特徴がみられ、常に不安と迷いの中にあるのが特徴的であった。周囲に同じ経過を辿る同病者がおらず経験知を得る機会が少ないため、生き抜いていくための情報を自ら求めて動き続けることが不安の軽減につながっていると考えられた。看護師の体験事例の特徴としては、「診断・治療時期における経験事例の少なさからくる意思決定支援の難しさ」「再発率の高さに対する患者の不安へのかかわり」「後手に回りやすい取りきれない症状へのかかわり」「予後を目安に、予後を超えて生きることを支援する難しさ」「かかわりの難しさを複雑にする患者の社会的背景」という特徴がみられた(継続分析中)。
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