2011 Fiscal Year Annual Research Report
メラトニン分泌を指標とした乳児期早期の睡眠覚醒リズムの発達に関わる因子の分析
Project/Area Number |
21592789
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
篠原 ひとみ 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80319996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兒玉 英也 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30195747)
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Keywords | メラトニン / 睡眠 / 乳児 / 泣き / 育児環境 / 唾液 |
Research Abstract |
生後4か月までの乳児における睡眠覚醒リズムの発達とメラトニンの概日リズムの発達との関係、授乳や育児環境が及ぼす乳児の睡眠覚醒リズムの発達との関係を明らかにすることを目的に、生後1か月、生後2か月、生後3か月の時点でアクティグラフによる睡眠覚醒リズムの観察、母親の児の泣きの観察記録、育児環境の調査、そして生後3か月時の日中の唾液中メラトニン値を測定する計画をたて、31名の乳児の縦断的データ収集を行った。アクティグラフの分析から睡眠変数を収集し、母親の記録から児の泣き/むずかりの回数と泣き/むずかり時間を収集した。そして児の睡眠発達と泣きとの関係を分析し、以下の結果が認められた。 (1)31人の総泣き/むずかり時間の平均値は生後4~6週107(±44)分、8~10週82(±38)分、14~16週60(±31)分であり週数に伴い減少した。(2)乳児の睡眠変数の変化は、動睡眠の総睡眠に占める割合、5分以上持続する睡眠圓数/日、日中の睡眠の占める割合は減少し、深夜帯の睡眠の占める割合は増加した。(3)育児環境と児の一日の泣き/むずかり時間との関連は認められなかった。(4)睡眠変数と総泣き/むずかり時間との関連を各週別に分析した結果、14~16週において動睡眠の総睡眠に占める割合と一日の総泣き/むずかり時間との問に有意な相関(r=0.44、p=0.02)が認められた。児の泣きと睡眠発達の関係は、生後2か月よりも3か月において明瞭となることが新たに指摘された。今回の研究から、生後3か月で泣きがみられる児では動睡眠の比率が高く、単に睡眠発遠の遅延に留まらず中枢神経系全体の成熟の遅延の可能性も懸念された。臨床上、生後建か月以降に泣きの沈静化しない乳児の睡眠発達の評価に於いては、母親の観察で得られる情報に留まらず、児の睡眠覚醒リズムの詳細や睡眠構造まで踏み込んだ検討が必要と思われる。また、14~16週における唾液中メラトニンと睡眠変数との間に明らかな関係は認められなかった。
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