2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21592807
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Research Institution | Japanese Red Cross Hokkaido college of Nursing |
Principal Investigator |
小嶋 理恵子 Japanese Red Cross Hokkaido college of Nursing, 看護学部, 講師 (20404402)
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Keywords | 父親としての生き方 / 働き方の交渉 / 夫婦関係の再構築 / 相互作用 / 当事者化 |
Research Abstract |
研究代表者は、先行研究において、初産のカップル3組への縦断的参与観察、聞き取り調査、および経産の夫3人に回想法による調査を行った。その結果「男性の妊娠・出産における当事者としての変化」という11のカテゴリーから構成されるプロセスを明らかにした。平成21年度は、先行研究で得られたデータの飽和化を目指して、東京の助産院で2組の初産のカップルを対象に、妊娠期から産後1、2か月までの期間に縦断的聞き取り調査を実施した。その結果、【職場に親としての立場から働き方を交渉する】するという新たしいカテゴリーが抽出された。これは、先行研究結果である、男性が【妊娠・出産に積極的に関わって欲しい妻との夫婦間葛藤】体験を通して【男性社会と妻から期待される役割に対する再検討】をしたことによる行動変容である。先行研究と21年度の研究結果から、これまで夫婦関係の危機として注目されていた【妊娠・出産に積極的に関わって欲しい妻との夫婦間葛藤】が、親としての自分の生き方と、男性社会における自分の生き方の再構築をする動機づけとなっているのではないかという示唆を得られた意義は大きい。さらに、この職場への交渉はその結果のいかんに関わらず、交渉という男性の行為そのものが女性のパートナーに対する満足感につながっていることが妻への聞き取り調査から明らかになった。男性が今までの自己に親としての自己を取り入れる過程において、この行動変容とそれに伴う夫婦関係の再構築が、親としての自己認識を促進させると考えられる。そこで平成22年度は、初産のカップルへの縦断的参与観察、聞き取り調査、および経産のカップルへの回想法による調査を通してカテゴリーの精製を目指していく。
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