2009 Fiscal Year Annual Research Report
子どもを亡くした遺族のグリーフワークを支える社会的ネットワークに関する研究
Project/Area Number |
21592818
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Research Institution | Niigata College of Nursing |
Principal Investigator |
大久保 明子 Niigata College of Nursing, 看護学部・看護学科, 講師 (70279850)
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Keywords | 子どもの死 / 遺族 / グリーフケア / 小児看護 / 看護学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、子どもを亡くした遺族へのケアの実態およびそれらに関連した看護師の認識を調査し、遺族ケアの課題を明らかにすることである。研究方法は、全国の小児専門病院及び小児病棟526施設に勤務する看護師を調査対象に郵送法による質問紙調査を行い、131の回収があった(回収率24.9%)。遺族ケアには大きなケアニーズがある65.6%、大きくはないがケアニーズがある21.4%を合わせると87.0%の看護師が遺族のケアニーズの必要性を認識していた。遺族ケアとして行っているケアには、葬儀参列、知識や情報の提供、病院外の遺族会やサポートグループの紹介があったが、60~90%の病院では今後も遺族ケアの実施予定なしとの回答であった。遺族ケアは、時間外のボランティアが最も多く、ほとんど勤務時間内であるが時間外はボランティアがそれに次ぐ結果だった。遺族ケアを行う上での問題や障害に関する自由記載では、「時間、場所、マンパワーが不足している」「遺族ケアを行うための予算が確保できない」「遺族ケアの必要性の認識が不十分である」「関わる看護師の心理的・身体的・時間的負担が大きい」「遺族ケアを行うための知識や能力が不足している」「遺族ケアの具体的方法やシステムが明確でない」「個々のケースにより求められる対応が異なる」「担当看護師の移動によるケアの継続がむずかしい」「子どもが亡くなるケースが少ないため遺族ケアが実践しにくい」の9のカテゴリーが抽出された。遺族ケアがボランティアで行われている場合は、看護師の時間的・精神的負担があることが推察できる。また、病院や病棟での遺族ケア対象者の数、遺族のニーズ、遺族ケアのシステム、実施コストと効果などを考慮した遺族ケアのあり方について検討していく必要がある。
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