2009 Fiscal Year Annual Research Report
AIDを選択した親と生まれた子どもが共に幸せになるための情報提供に関する研究
Project/Area Number |
21592835
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
清水 清美 International University of Health and Welfare, 保健医療学部, 講師 (70323673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長沖 暁子 慶應義塾大学, 経済学部, 准教授 (80118984)
柘植 あづみ 明治学院大学, 社会学部, 教授 (90179987)
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Keywords | 非配偶者間人工授精 / 家族づくり / 情報提供 |
Research Abstract |
国外調査では、2010年1月から非匿名制の配偶子提供を法制化したオーストラリア・ニューサウスウェルスにて、行政、不妊カウンセラーおよび不妊カップル、生まれた人の視点から法律施行前後で変化したこと、今後の課題について聞き取り調査を実施した。 ニューサウスウェルス州政府(NSW)は、自身の意思が反映されないで生まれてくる子どもの「出自を知る権利」の保障を最優先すべく法制化に至ったが、最終的に親が子どもに告知するか否かに対しては個人的な問題であるという姿勢を示した。親が子どもに話してゆくための支援に対する具体策や予算は殆どないという。非匿名制の導入により、不妊カップルがドナーを家族・友人・近所・職場の人から探してくる体制が主流となり、カウンセラーは従来の不妊カップルへの心理者社会的支援、ドナーやドナーのパートナーへのカウンセリングの他、ドナーと不妊カップルのジョイントカウンセリングの開催など業務が拡大した。しかし、その予算は殆どなく、カウンセラ0の熱意で支えられている現状である。一方、当事者団体は、州内だけの問題にとどまらない点を指摘し、国としての法制化されなかった点で「理想的な改正でなかった」と評価していた。また、具体的な支援策、登録制度やカウンセリングサービスがなく、社会の認識を高めるためにも、AIDで親になった人、生まれた人の現状調査の必要性を指摘した。 国内調査では、AIDで始めて父親になった男性を対象に、家族形成過程における体験についてインタビュー調査を行った。男性の語りから、「不妊の衝撃と妻への自責の念」「自身の気持ちを整理する」「妻と話し合い歩み寄る」「AIDをポジティブに捉える」「子どもとの関係から培われる父親としての自信」「夫婦が意思疎通していく努力」「父親としての確信の揺らぎ」が抽出された。
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Research Products
(3 results)