Research Abstract |
乳幼児の虐待事例・虐待リスク事例における父親の特性と心理社会的要因について明らかにすることを目的として平成22年度は,1.子ども虐待における父親のリスク要因に関する国内外の研究を把握し,今後の子ども虐待における父親の特性に関する研究,実践上の課題を明らかにするために,文献検討を行い文献レビューした。子ども虐待における父親のリスク要因として,属性については,国内では,父親の被虐待経験,年齢等が明らかとなっており,国内外で共通すると考えられた。国外では,父親の雇用・経済状況,人種,父親代理等の要因が特徴であった。心理社会的要因については,国内外では,父親の家族に対する暴力や反感等のマイナス感情が明らかとなっており,国内外で共通すると考えられた。国外では,パートナー,子どもに対する共感が低い,客観的な受け止めが低い,父親自身の子どもへの態度,しつけ,怒り方等の要因が特徴であった。国内外では,社会背景の違い,家族の背景等に違いはあるが,今後,日本においても子ども虐待におけるリスク要因として,父親の家族関係,心理面も含めた特性について明らかにしていく必要性がある。2。北海道内の保健所管内で,児童福祉施設や医療福祉サービス等社会資源が比較的整備されている1つの地域を特定し,協力が得られる行政機関に依頼し,研究課題に関する情報収集,学習の機会とするため,子育て支援に関する事例検討会に平成21年度より継続して出席した。3.行政機関に所属する熟練保健師9名のインタビューデータについては,現在分析中である。以上,乳幼児の虐待事例における父親の特性について,研究をすすめることで、父親のリスク要因の検討につながると考える。
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