2011 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャル・キャピタルに基づく自殺予防における地域看護活動の効果に関する実証研究
Project/Area Number |
21592847
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
鈴木 圭子 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (10341736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本橋 豊 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10174351)
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Keywords | メンタルヘルス / 自殺予防 / ソーシャル・キャピタル |
Research Abstract |
30-74歳の一般住民を対象としたアンケート調査を行い、メンタルヘルスに関連する要因を、ソーシャル・キャピタルを含めて検討した(分析対象数:840)。本研究におけるソーシャル・キャピタル(以下、SC)は、1)地域の安全、美観、人々の間の信頼、互助、所属感(認知的SC)、2)近所の人、友人・知人、親戚・親類、職場の同僚とのつきあい、家族との関わり(構造的SC)、3)地縁的活動、スポーツ・趣味・娯楽活動、ボランティア・NPO・市民活動、その他の団体における参加状況(橋渡し的SC)4)職場の上司・管理者の従業員への接遇態度、従業員の権利の尊重、職場の仲間意識、職域における仕事上の問題の共有、互助、信頼(職域のSC)とした。メンタルヘルスの評価指標は、K6質問票日本語版(得点範囲0-24)を用いた。メンタルヘルスと諸要因の関連を分析するために、従属変数をK6得点13点以上vs.13点未満とし、各調査項目を独立変数とした単変量ロジスティック回帰分析を行った。次に、交絡要因を調整するために、単変量モデルで有意差があった変数、年齢、性を投入し、多重ロジスティック回帰分析(強制投入法)を行った。分析は、有職者と無職者に分けて行った。その結果、精神的苦痛に有意に関連していた要因は、有職者においては、年齢が低い、主観的健康感が良くない、ソーシャルサポートが少ない、仕事のストレスが強い、職域のSCが少ない、無職者においては、年齢が低い、主観的健康感が良くない、認知的SCが少ない、ソーシャルサポートが少ない、であった。経済状態、構造的SC、橋渡し的SCは、有職者・無職者共に、単変量解析でのみ有意な関連があった。以上より、住民のメンタルヘルス増進及び自殺予防における地域看護活動の視点として、地域及び職域におけるソーシャル・キャピタル醸成の重要性が明らかになった。
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