2011 Fiscal Year Annual Research Report
知的発達障害児とその家族を支援するコミュニティレジリエンスの育成
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21592860
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
入江 安子 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (80342195)
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Keywords | 発達障害 / コミュニティレジリエンス / Community-based Participatory Research |
Research Abstract |
本研究の目的は、知的発達障害児とその家族を支援する地域の力、コミュニティレジリエンスを育成し、そのプロセスと促進する要因の検討である。研究方法はCommunity-based Participatory Researchを用い、A町をフィールドに実施している。2009、2010年度は発達障害児とその家族のための地域支援システムの課題を検討し、(1)発達障害児の行動特性を理解した教職員集団づくり(2)家族支援等を挙げた。2011年度はこの課題に次の介入を実施した。【方法】(1)準備:スタッフへの感覚統合療法研修(2)介入:作業療法士(OT)による療育教室への関わりと保護者への研修の実施(3)評価:介入実施前後にSTAI・SF-36V2・SDQの測定と分析。【結果】対象児5名(年齢3~4歳、広汎性発達障害等)(1)スタッフの変化スタッフは感覚統合を保育に取り入れるなどの子どもの特徴を理解した関わりに意欲を示し、実施に至った。(2)子どもと母親の変化OTによる関わりにより、苦手な感触遊びが可能になるなどの子どもの変化が認められた。しかし、母親が記入した子どものSDQは困難・強みにおいて変化がなく、母親のQOLはPSCの低下、MCAの上昇、STAIは状態不安・特性不安に変化が認められなかった。【考察】本介入により、スタッフの意識に変化を示し、子どもの行動特性に応じた環境づくりが実現したが、家族の不安やQOLに改善が認められなかった。これは、介入が3ヵ月間と短期間であり、家族を支援する地域力の発展に繋がらなかったと考えられる。そこで、2012年度は、同様の介入を4月~3月まで継続し、家族のSTAI、QOL等の経時的変化を観察し、スタッフの意識の変化が、知的発達障害児とその家族を支援する地域の力、コミュニティレジリエンスの育成に与える影響をキーインフォーマントグループメンバーと協働しながら検討することを計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年度は、研究協力者である作業療法士との調整に時間を要したが、本研究の結果とその分析を協働することで、コミュニティレジリエンスにも関心を示されるようになり、2012年度は、複数の作業療法士の協力を得ることができるようになった。尚、本研究は、2011年度奈良県公衆衛生学会において最優秀賞を受賞した。
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方略) 24年度は、昨年同様に感覚統合療法を専門とする作業療法士による療育教室における個別の関わりや、カンファレンスを通してのスタッフ支援などの介入(4月~翌年3月)を行い、その効果を家族の不安(STAI)、QOL(SF-36v2)、家族が観察する子どもの行動特性(SDQ)、感覚統合面の特性(JSI-R)の経時的変化(4月・7月・12月・3月)を測定し、評価する。研究対象者は研究同意が得られた二次療育教室の参加者(約14名)、データ収集期間は4月~翌年3月、分析期間7月~翌年3月とする。データ分析結果については、Key Informant Groupでの検討を計画している。 ,(次年度の研究費の使用計画) 直接経費の100000円は、研究協力者である作業療法士2名謝金に充当する。 間接経費は、30000円は、家族の不安(STAI)の調査用紙購入、Key Informant Group開催経費、及び学会報告出張経費等に充当する。
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Research Products
(4 results)