2009 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア圏域の家族の扶養意識と高齢者介護の社会化に関する研究
Project/Area Number |
21592862
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
太湯 好子 Okayama Prefectural University, 保健福祉学部, 教授 (10190117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 和夫 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (30265102)
高井 研一 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (20295827)
桐野 匡史 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助手 (40453203)
貫金 栄 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助手 (50468295)
竹田 恵子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (40265096)
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Keywords | 高齢者 / 家族凝集性 / 扶養意識 / 高齢者介護 / 社会化 |
Research Abstract |
本研究は、日本・韓国・中国の3カ国の中で、介護の社会化において、家族機能(家族凝集性)と老親扶養意識が介護の社会化の意識に及ぼす影響の類似性と差異性の問題を、日本・中国・韓国の3カ国の世代間(大学生と親)のデータを基礎に検討することを目的とした。 日本・中国・韓国の各2大学の学生とその親を対象に質問紙調査を実施した。親への調査は大学生を経由して質問紙の配布を依頼し調査した。本年度は、3カ国での調査を実施し、データに不備のあった中国の1大学については再度調査を実施したところである。 調査内容は(1)基本属性(性、年齢、同胞数、出生順位、家族員数、出身地域)、(2)家族凝集性、(3)老親扶養意識、(4)介護の社会化の意識、看取られたい場所、(5)健康関連QOLについて調査した。 分析は因果モデルを構成し、構造方程式モデリングを用いて分析した。 結果、日本、中国、韓国ともに因果モデルへの適合度はおおむね良好であり、統計学的に支持された。日本では家族凝集性は手段的、情緒的扶養意識に関連し、介護の社会化の意識と負の関連を認めた。また、老親扶養意識の低さは介護の社会化の意識を高めた。韓国では、家族凝集性は手段的、情緒的扶養意識に関連し、情緒的扶養意識と介護の社会化の意識と負の関連を認め、手段的扶養意識と介護の社会化の意識とは直接的な関連はなかった。中国では家族凝集性は手段的、情緒的扶養意識に関連するが、介護の社会化の意識には直接的な関連はなかった。 3カ国ともに老親扶養意識は大学生>親であり、家族凝集性はいずれの国においても、手段的、情緒的扶養意識に関連した。また、日本の親の手段的扶養意識は最も低く、次いで韓国の親が低かった。しかし、家族凝集性は韓国が大学生、親ともに最も高く、介護の社会化の意識は日本が最も高く、次いで韓国が高く、中国が最も低かった。これらの結果は公的な介護保険制度との関連が示唆された。
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Research Products
(1 results)