2011 Fiscal Year Annual Research Report
養護教諭のフィジカルアセスメント能力を高める症例写真データベースの構築と評価
Project/Area Number |
21592865
|
Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
丹 佳子 山口県立大学, 看護栄養学部・看護学科, 准教授 (70326445)
|
Keywords | 養護教諭 / フィジカルアセスメント / 症例写真 / 重症度・緊急度判断 / 外傷 / 教育教材 |
Research Abstract |
本研究は、保健室で手当てする頻度が高い「外傷」の写真画像を収集し「症例写真データベース」を構築し、その画像を用いて外傷の重症度・緊急度の判断力を養う養護教諭向けフィジカルアセスメント教育プログラムを作成することを目的としている。 平成23年度は平成22年度に収集した外傷写真を使用して「症例写真データベース」を構築するとともに、教育教材を作成した。さらに、その教材の効果を測定するため、養護実習受講学生9名(平均年齢22.1±1.96歳)と教員免許状更新講習を受講した養護教諭21名(平均年齢45.0±7。19歳、平均経験年数19.8±9.44年)に対して、開発教材を用いて教育を実施し、その効果を質問紙(症例画像が含まれる事例を用いて緊急度・重症度を判断する内容。教育前後で同じ内容の質問紙調査を実施)によって測定した。 その結果、学生、養護教諭ともに、教育前(事前調査)よりも、教育後(事後調査)において、平均正答率が高く(学生で25ポイント上昇、養護教諭で12.3ポイント上昇)、事前-事後間に有意差が認められた(p<0.001)。 それぞれの緊急度・重症度判断根拠(自由回答)をみると、学生においては、事前は「すぐなおりそう」「消毒で十分そう」「薬が効いていなさそう」「擦り傷だから」など、主観的な根拠が多かったが、事後は客観的な上事実(傷の深さ・広さ・浸出液の色、膿の有無)に基づいた根拠の記述が多くなっていた。養護教諭においても、事前では記述がなかった「浸出液、異物の有無、出血量、傷の大きさ」という視点が事後では多く記述されていた。これらのことから、「外傷」の写真画像を用いた教育教材の有効性が示唆された。
|