2011 Fiscal Year Annual Research Report
精神障害を持つ実親と生活する思春期年代の子どもの生活状況の把握と支援に関する研究
Project/Area Number |
21592891
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
土田 幸子 三重大学, 医学部, 助教 (90362342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長江 美代子 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 教授 (40418869)
甘佐 京子 滋賀県立大学, 人間看護学部, 教授 (70331650)
浦川 加代子 三重大学, 医学部, 教授 (00273384)
櫻井 しのぶ 順天堂大学, 医療看護学部, 教授 (60225844)
鈴木 大 三重大学, 医学部付属病院, 助教 (30378301)
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Keywords | 精神障がい者の子ども / 孤独 / 生活しづらさ / サポート・グループ / 思いの共有 / 受け止められる体験 / 他者との繋がり |
Research Abstract |
昨年に引き続き、精神障害を持つ親と暮らす/暮らした経験を持つ20歳以上の子どもを対象に、「精神障害を持つ親との生活で感じる困難」についてインタビューを実施し、以下のことが明らかとなった。(1)"病気"や"生活"、"自分自身"がわからない。殆どの子どもは、親の障害について説明を受けていないため、様々な症状を示す親のことをおかしいと感じながらも、大人の隠す様子から聞くことができず、訳がわからないまま障害を持つ親に合わせた生活・親に負担をかけない"いい子"でいる生活を送っていた。そうした生活は、自分の感情をなくし"自分自身"がわからない状況にもなっていた。(2)家の中でも"孤独"だった。親の病気が優先されるこれらの家庭では、話を聞いてほしくても聞いてもらえないなど、家の中でも孤独を感じていた。また、外でも家の状況を話せないため、不安や淋しさといった感情を一人で抱えていた。(3)大人になっても感じる"生活しづらさ"。これらの子どもは、親から認められた経験に乏しく、自信が持てないため、人に合わせ、世間の基準から外れないよう必要以上に敏感になっていた。 子どもが集い、相互交流を図るサポート・グループを10回実施。仲間に受け入れられ、わかり合える体験は、孤独を感じていた子どもが他者との繋がりを感じる場になっていた。仲間の体験から、他者との違い・いろんな感じ方があることに気づくことは、ありのままの自分を受け入れことにもつながり、こうした過程を通して、自己を統合し自分の力を発見・引き出すことへと発展していた。 当初思春期年代の子どもを研究対象にしていたが、学齢期にある子どもへの接近・介入は、既成人の子どもが「子どもの頃は、家のことを話そうとは思わなかった」と話すことから困難と判断し、身近に存在する学校の教員・地域住民等に研究結果(子どもが周りの大人に望む支援)を伝え、子どもの健全な発達を促すよう働きかけた。
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Research Products
(6 results)