Research Abstract |
【研究目的】地域在住高齢者がどの程度の静止視力および運動視機能を有しているのかを調査し,年齢による変化および視機能に影響を与えている要因を分析する。【研究方法】1.対象:年齢による変化を検討するために,地域在住の40歳以上の人321人。平均年齢67.27(SD10.38)歳。2.調査方法及び内容:1)年齢,性別,既往歴,活動能力(老研式活動能力指標)について自記式調査。2)静止視力(SVA),前後方向動体視力(KVA),横方向動体視力(DVA),深視力,瞬間視,眼球運動,夜間視力を測定。3.分析方法:各視機能と影響要因との関係をロジスティック回帰分析した。【結果】1.対象の特性:男性112人女性209人。眼疾患の有る者は35人(10.9%),全身性代謝性疾患が有る者は106人(33.0%)2.各視機能と影響要因の関係:1)SVAが0.5以下になるリスクは,40~54歳に比して,65~74歳には高くなり,75歳を超えると著高であった。2)運動視機能:KVAは40~54歳の人と比較して55歳から不良になるリスクが高くなり,75歳を超えると著高であった。SVA,夜間視力,DVA,深視力,瞬間視は,65歳になると不良になるリスクが高まり,75歳を超えるとさらに高くなった。特にSVAは著高であった。眼球運動は75歳までは比較的保たれることがわかった。また,KVA,夜間視力および深視力はSVA 1.0以上と比較して,0.9以下になると不良になるリスクが高くなることが示唆された。特にKVAは著高であった。DVAおよび瞬間視はSVAが0.5以下になると不良となるリスクが高くなることがわかった。以上,SVAの低下が眼球運動以外のKVA,夜間視力,DVA,深視力,瞬間視の低下につながることがわかった。したがって,眼鏡などによってSVAの矯正を適正に行うことは非常に重要であるといえる。また,視機能は加齢に伴って低下することが確認された。
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