Research Abstract |
今年度は,介護予防の観点から高齢者の睡眠実態と健康状態,生活習慣、精神的健康等との関連や睡眠促進のための介入方法を検討する目的で,以下3つの調査を段階的に行った. まず、自立度の異なる高齢者向け事業参加者225名を対象に,主観的睡眠実態と健康状態,生活習慣・精神的健康との関連を検討した(特定高齢者のみの抽出はフィールドの特性から不可能であった).対象者の主観的睡眠は概ね良好であり,介護予防群・一般群別の健康状態,活動能力,生活満足度には差がなかったが,GDS5得点は正常範囲内にあるものの前者が有意に高値であった.本対象者の睡眠が確保されていた理由は,介護予防群の約半数が自立で活動能力が高かったこと,精神的健康も比較的良好であったことが考えられる.睡眠健康指標得点25パーセンタイル以下(睡眠良好群)と75パーセンタイル以上(不良群)の比較では,総臥床時間,睡眠効率,熟睡感,睡眠維持や入眠困難と入眠時の日常生活習慣実践,精神的健康(GDS),年齢,主観的健康状態に有意差が認められた.従って,不良群の入眠を促し熟睡感を高めるためには日常生活習慣の見直しと意識づけの介入が必要であることが示唆された。 次いで,一般的に,唾液中ストレスホルモン(コルチゾール)の就寝前の高値と不眠との関連が指摘されているため,同意の得られた25名を対象にコルチゾールより精神性ストレス感度の優れた唾液中クロモグラニンA検査(ELISA法)を実施した。就寝前高群と起床時高群の比較から前者の睡眠効率が有意に低いことを確認し,就寝前高群への入眠前リラクゼーション(ストレス軽減)介入が支援の鍵であることを確認した. 以上の結果から,既に13名の生活時間やアクティウォッチによる睡眠測定,活動量,食生活など生活全般調査を終えたが,今後は,個々に応じた入眠を促す具体的な介入を行い効果測定する計画である.
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