2011 Fiscal Year Annual Research Report
薬物依存症者への看護に関する質的変化の分析と理論基盤の構築
Project/Area Number |
21592915
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
寳田 穂 大阪市立大学, 看護学研究科, 教授 (00321133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高間 さとみ 鳥取大学, 医学部, 講師 (90588807)
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Keywords | 薬物依存症 / 看護 / 看護師 / 転機 / 理論構築 |
Research Abstract |
【全期間を通しての目的】 薬物依存症の治療や回復支援に関連する多領域の理論や概念との系統的な検討を行いながら、薬物依存症者への看護の質的変化と看護師の体験に焦点をあてたインタビュー調査を行い、薬物依存症者への看護についての考え方や概念を明らかにしていき、実践的な理論の基盤を構築する。 【本年度(2011年度)の実施】 1.2010年度に行った調査結果の分析/解釈を行い、次の内容について学会にて発表した。 研究目的:薬物依存症者への看護の実践者にインタビューを行い、看護の質的向上への転機の様相を描き出し、ケアの転機に関連する事象や特徴を明らかにする。方法:薬物依存症治療プログラムを実施している病院4か所の看護師14人にインタビューを行った。インタビューは同意を得て録音し、計835分の録音記録から逐語記録を作成し、帰納的に分析/解釈を行った。結果および考察:看護の質的変化の特徴として、次のことが確認された。①患者へのネガティヴなイメージを抱きながらの対応が、患者への関心を抱き話し相手になる時間を大切にする看護へ、②看護師としてこうあらねばならないという思いに基づいた看護から、ごまかさない素直に思いを伝える看護へ、③医師の指示に基づくケアから、看護の判断に基づくケアへ、④患者に薬物をやめさせるケアから、患者自身が回復したいと思えるケアへ。これらの変化への転機の特徴としては、「看護師の困難感と対処したい思い」と「先輩看護師のサポート」との相互作用が必要であると考えられた。 2.上記の結果から得られた薬物依存症者へのケアの転機に関連する事象や特徴に焦点を絞り、個人インタビューでの考察結果の検証を行うため、グループインタビューを計画し、倫理審査委員会での承諾を得て、インタビュー参加対象者に依頼を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
個人インタビューの結果分析・解釈に際し、当初想定していなかった並行して行っている研究の結果と本研究結果の関連性が判明し、結果の比較検討を加えより詳細な分析・解釈を行う必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
H23年度中に実施予定であったグループインタビューを、H24年5月までに実施するよう変更した。また、この予算に関しては、科研費繰越申請を行った。
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