2009 Fiscal Year Annual Research Report
頻回な自傷行為を呈する思春期患者の感情統制ストラテジーに関する研究
Project/Area Number |
21592932
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
郷良 淳子 Konan Women's University, 看護リハビリテーション学部, 講師 (40295762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土田 幸子 三重大学, 医学部, 助教 (90362342)
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Keywords | 思春期 / 精神看護 / 自傷行為 / 弁証法的行動療法 |
Research Abstract |
本年度は、米国シカゴラッシュ大学メディカルセンターの児童思春期病棟を含めシカゴ周辺の3施設の視察を行い、自傷行為を繰り返す思春期患者のケアの状況の理解を深めた。 自傷行為のみでは入院はしないが、1施設では、外来での弁証法的行動療法を用いた1ヶ月のプログラムを実施し、そのプログラムを病棟でも実施していた。他の2施設も入院は5-7日間で主にアセスメントと薬物の調整のために入院していることがわかった。 本研究では、米国の思春期の自傷行為をしている子どもと日本の子どもの体験の比較を元に、日本における自傷行為を頻回に繰り返す子どもの感情統制のためのプログラム開発を行う予定であったが、米国での子どもへのインタビューは困難であることから、自傷行為を繰り返す子どもをケアするエキスパートナース(おおむね10年以上の思春期患者のケアを行っているナース)へのインタビューを、自傷行為のケアプロトロールのある病棟とない病棟で行うように調整をした。平成22年4月~5月にかけ10名のナースにインタビューを行う。その経験とプロトコールを日本のプログラムの骨子の参照枠組みとする。 日本の思春期で自傷行為を繰り返した患者へのインタビューも倫理的な問題から困難であり、20歳を過ぎた患者にその体験を振り返ってもらうインタビューに変更した。さらに、自傷行為を行う思春期患者のケアを行うエキスパートナース2名にインタビューを行った。この中で、米国同様、弁証法的な関わり方で感情の日記や絵によって表出してもらうこと、患者の思いを聞き続け、受け入れることの重要性が明らかになった。一方で、その姿勢を持ち続けるための病棟の環境を育てる重要性が明らかになった。スタッフ教育、試作プログラムの試み、個別の患者教育の3方向の取り組みの必要性が示唆された。22年度が1-2施設の病棟でこの取り組みの実践を行う。
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