2011 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管障害患者と家族の退院支援における看護介入プログラムの構築
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21592938
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Research Institution | The University of Shimane Junior College |
Principal Investigator |
梶谷 みゆき 島根県立大学短期大学部, 看護学科, 教授 (00280131)
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Keywords | 家族看護 / 脳血管障害 / 家族機能障害 / 介入プログラム / 介入評価 |
Research Abstract |
脳血管障害発症後の混乱期における患者と家族(配偶者)の家族機能改善に向けて,3~4週間毎に計3回の介入を実施し,家族成員の「感情の安定化」と教育・指導・認知の修正等による「療養生活上の目標の共有化」の2点を柱とする介入プログラムを検討した.(平成18~20年度基盤研究(C)課題番号18592402)続いて平成21年度は,介入プログラムと実用化に対する検討を行った.平成22年度は協力医療施設への依頼と研究協力看護師の募集を行い,3名の看護師による介入プログラムの研修と介入の試行を実施した. 平成23年度は,3名の研究協力看護師による受持患者と家族,計6事例への介入を行った.6事例とも患者と主介護者の関係は夫婦であった.患者は夫が4名,妻が2名であった.患者の平均年齢は64.0歳(55~78歳),配偶者(主介護者)の平均年齢は61.3歳(47~77歳)であった.Family Assessment Device(FAD)における6事例の平均値で介入前後を比較すると,患者は「情緒的反応」「情緒的干渉」「行動統制」が2.0以上で機能低下を認めたが,「行動統制」以外は介入後改善した.配偶者は「問題解決」「情緒的反応」「情緒的干渉」で2.0以上を示した.いずれも介入後改善傾向を示したが以前1.8程度と高く,また「行動統制」は介入後が2.2と上昇した.介入後のインタビューによる質的評価では,面接により「考えを整理出来た」「心理的に落ち着けた」「療養生活における目標を共有できた」という反応が得られた.本プログラムは,目的に対して一定の効果を得,特に情緒面において効果があると言える. 一方研究協力看護師からは,意図的介入により患者と配偶者のコミュニケーションが促進されたり,心理的に落ち着いた等の反応を得られたことに対する肯定的評価が得られた.しかし,通常の看護業務に加え,研究的取組みとはいえ(1)各回1時間~1時間半程度の面接とその前後の準備と事後処理に時間を要すること(2)研究目的に適応する意図的な介入には看護師としての力量を求められることから実践上の困難感があった.本介入プログラムの改善を図り,臨床活用性を高める必要があると考えられた.
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