2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21600004
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
片野坂 公明 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教 (50335006)
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Keywords | 温度感覚 / 痛覚 / 侵害受容器 / 一次知覚ニューロン / TRPチャネル / 熱 / pERK |
Research Abstract |
本計画は、痛み受容にはたらく侵害受容器においての、極端な高温や低温の受容メカニズムを明らかにする目的で実施しており、本年度は特に高温受容に関する以下の実験を行なった。 Transient receptor potentialイオンチャネルの一種であるTRPV2は、50℃を超える侵害的熱受容体として有力視されていることから、その高温受容への関与を免疫組織学的手法により検討した。深麻酔下のマウスの後肢を高温の水に短時間浸漬した後、急速に神経組織を化学固定し、その後高温で活性化された脊髄後根神経節知覚ニューロン(DRGニューロン)で見られるExtracellular signal-regulated kinasesの一過性のリン酸化(pERKレベルの増加)を、抗pERK特異的抗体を用いて免疫組織学的に検出した。野生型マウスにおいては、皮膚温レベルの32℃の熱刺激後、約4.7%のDRGニューロンがpERK陽性を示したが、60℃の熱刺激後には24.4%ものDRGニューロンでpERKが観察され、これらが熱感受性ニューロンであると考えられた。その大部分は小型ニューロンであり、主に中型~大型ニューロンに属する抗TRPV2抗体陽性細胞においては、熱刺激によるpERK出現頻度は低かった。さらにもう1つの熱受容体であるTRPV1の遺伝子欠損マウスにおいて同様に調べたところ、60℃の熱刺激後のpERKはDRGニューロンの7.1%でしか観察されず、しかもそのほとんどが抗TRPV2抗体に陰性であった。このことから、野生型マウスの高温感受性pERK陽性細胞は、その多くがTRPV1発現ニューロンであると考えられ、それ以外の細胞はTRPV・V2の発現レベルの低い細胞であることが明らかとなった。以上の結果から、TRPV1・V2に依存しない高温受容機構の存在が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] Role of TRPV1 in mechanically induced pain2011
Author(s)
Murase S, Ota H, Katanosaka K, Kubo A, Queme F, Matsuda T, Taguchi T, Mizumura K
Organizer
International Symposium on Mechanobiology (The Fifth Shanghai International Conference on Biophysics and Molecular biology)
Place of Presentation
Huashia Hotel (Shanghai, CHINA)(招待講演)
Year and Date
2011-11-05