2009 Fiscal Year Annual Research Report
難治性疼痛の克服:G蛋白共役型受容体同時活性化による鎮痛耐性形成の回避
Project/Area Number |
21600009
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
上園 保仁 National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East, がん患者病態生理研究部, 部長 (20213340)
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Keywords | 脱感作 / 緩和医療 / バクロフェン / モルヒネ / 髄腔内投与法 / オピオイド受容体 / GABA_B受容体 / 難治性疼痛 |
Research Abstract |
モルヒネが効かない痛みに対し、先進国ではくも膜下モルヒネ投与法、さらには脊髄GABA_B受容体の活性化を目的として、バクロフェン髄腔内投与が行われている。しかし両者とも持続投与では鎮痛効果が減弱することが知られている。この減弱効果には、μオピオイド受容体、およびGABA_B受容体の脱感作が関与すると考えられている。μ受容体の脱感作にはG protein-coupled receptor kinase 2(GRK2), GRK3というリン酸化酵素が、GABA_B受容体脱感作にはGRK4,GRK5が関与し、これらは高濃度リガンドで脱感作の促進が見られることを見いだした。従って低濃度リガンドを併用して用いれば鎮痛効果の減弱、耐性の発現は少ないと考えた。 (1)クローン化μ受容体、GABA_B受容体、GRK2、GRK4、および内向き整流性Kチャネルを発現させたアフリカツメガエル卵母細胞において、低濃度バクロフェン+モルヒネは、高濃度バクロフェン単独,並びにモルヒネ単独(10uM)で得られた受容体活性とほぼ同程度か増強する活性化を示した。これは、低濃度の組み合わせが十分な鎮痛効果を示すことを示唆する。 (2)この少量バクロフェン+モルヒネは、高濃度の処置と比較し、受容体脱感作をほとんど起こさなかった。 (3)さらに、麻酔薬でありNMDA受容体アンタゴニストであるケタミンとバクロフェン、モルヒネのそれぞれを組み合わせると受容体脱感作はほぼ抑制された。 (4)髄腔内投与による鎮痛の耐性を起こしにくい方法として、低濃度モルヒネ+バクロフェン、さらにバクロフェン+ケタミン、モルヒネ+ケタミン髄腔内投与が効果的な手法として提唱される。今後はさらに動物モデル(ラット疼痛モデル)で検討を行う必要がある。次年度に向けて、ラット、マウスを用いての鎮痛効果を評価するシステムを立ち上げる予定である。
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Research Products
(17 results)