2009 Fiscal Year Annual Research Report
先天性無痛無汗症の分子病態解析に基づく内感覚と自律神経の研究
Project/Area Number |
21600010
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
犬童 康弘 Kumamoto University, 医学部附属病院, 講師 (40244131)
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Keywords | 先天性無痛症 / 先天性無痛無汗症 / 遺伝性感覚自律神経性ニューパチーIV型 / 神経成長因子 / 神経成長因子受容体 / 内感覚 / TRKA / NTRK |
Research Abstract |
先天性無痛無汗症(CIPA)は、温覚・痛覚を欠如し、発汗障害を伴う常染色体劣性遺伝性疾患である。私たちは、1996年にCIPAの原因をはじめて明らかにした。内感覚(interoception)は、比較的新しい生理学的感覚受容の概念で、生体の恒常性維持に重要なはたらきをする。私たちのこれまでの研究により、稀な疾患であるCIPAの分子病態を解析することで、健常者における内感覚のメカニズムを明らかにすることができる可能性が示唆された。CIPA患者では外傷・感染に対する生体防御反応が通常とは異なる経過を取る。例えば、健常者では、ヒスタミンを皮下投与した際に周囲での発赤反応(軸索反射)がみられるが、患者ではこの反応が欠如する。このことは、CIPAの分子病態を調べることで、生体の恒常性維持に重要なはたらきをしている炎症反応や神経・免疫・内分泌系の相互作用を理解する上で有用な情報が得られることを示唆する。本研究では、CIPA患者での表現型の解析を行うことで、皮膚、筋肉、関節、歯、血管、内部臓器などに関するさまざまな機械的負荷、温度変化、化学変化、代謝過程、ホルモンやサイトカインのレベルなどに対する反応や行動様式を観察する。これらの負荷や組織変化を誘起する刺激の一部は、患者にとって侵襲が大きいため許されないものもある。このため、実際にはそれぞれのCIPA患者が日常生活で経験したエピソードや病歴について、患者家族や担当医師からの情報をもとに解析を進めている。CIPAの分子病態は、この疾患のメカニズムや合併症の予防や治療に役立つだけでなく、まだ不明なことが多い健常者での内感覚のメカニズムを考察する上で、有用な情報を提供する可能性がある。
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