2009 Fiscal Year Annual Research Report
エンドモルフィンを用いた難治性疼痛に対するジーンセラピーの開発
Project/Area Number |
21600013
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
溝口 広一 Tohoku Pharmaceutical University, 薬学部, 准教授 (30360069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻田 忍 東北薬科大学, 薬学部, 教授 (30075816)
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Keywords | エンドモルフィン / 産生遺伝子 / 難治性疼痛 / ジーンセラピー / μ受容体 |
Research Abstract |
研究代表者らは先の研究課題において、未だその産生遺伝子が発見されていない内因性μオピオイドペプチド、endomorphin-1およびendomorphin-2を産生する可能性のある遺伝子を発見した。そこで、発見した遺伝子が実際にendomorphin-1およびendomorphin-2の前駆体ペプチドの産生遺伝子であるか否かを明らかにするために、その遺伝子に対する選択的かつ相補的なアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(AS-ODN)を作製し、マウス脊髄髄腔内に1日1回4日間連続投与して、熱侵害刺激ならびに圧刺激に対する疼痛閾値の変化を経日的に測定した。その結果、endomorphin-1およびendomorphin-2のいずれを対象にしたAS-ODNによっても、熱侵害刺激ならびに圧刺激に対する疼痛閾値は低下し、脊髄において疼痛制御を行っているendomorphin-1およびendomorphin-2の含量が低下した可能性が示された。現在、同様のAS-ODN処置により、実際に脊髄におけるendomorphin-1およびendomorphin-2の含量が低下するか否かを、免疫学的組織化学染色法で検討中である。 一方、endomorphin-1およびendomorphin-2の脊髄鎮痛作用の発現に関与するμ受容体スプライスバリアントを、μ受容体の各exon(exon-1、exon-4、exon-6、exon-12、exon-13、exon-14)に選択的なAS-ODNを用い、熱侵害刺激法で検討した。その結果、endomorphin-1の脊髄鎮痛作用は、exon-1あるいはexon-13を含むが、exon-4、exon-6、exon-12およびexon-14を含まないμ受容体スプライスバリアントを介して発現することが明らかとなった。これに対し、endomorphin-2の脊髄鎮痛作用は、exon-1、exon-4、exon-6、exon-12あるいはexon-14を含むが、exon-13は含まないμ受容体スプライスバリアントを介して発現することが明らかとなった。現在、上記以外のexonに選択的なAS-ODNを用いることにより、endomorphin-1およびendomorphin-2の脊髄鎮痛作用の発現に関与するμ受容体スプライスバリアントの、より具体的な特定化を試みている。
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