2009 Fiscal Year Annual Research Report
侵害受容性感覚神経におけるGABAの興奮伝導修飾作用
Project/Area Number |
21600014
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
八木 淳一 Kyorin University, 医学部, 講師 (90265760)
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Keywords | 神経科学 / 痛覚 / 感覚神経 / シナプス前抑制 / パッチクランプ |
Research Abstract |
脊髄後角の侵害情報伝達において、γ-アミノ酪酸(GABA)は、脊髄後根神経節(DRG)ニューロンの中枢側終末部に作用して「シナプス前抑制」を起こす。GABA-A受容体・Cl-チャネルの活性化が引き起こすシナプス前抑制の機序については、「脱分極によるNa+チャネルの不活性化」と「入力抵抗の低下による興奮性の低下(シャント効果)」の2つ仮説が提唱されている。しかし、終末部の電気活動を直接記録できないため、この2つの仮説はこれまで検証されていない。本研究では、2つの仮説の検証を行うため、神経終末部をモデル化した「ラットDRG-坐骨神経付in vitro標本」を開発し、C-線維を有する小型DRGニューロンの細胞体からのホールセルパッチクランプ記録を行う手法を確立した。DRGニューロンの細胞内Cl一濃度は、通常、30~50mMと報告されている。そこで、高濃度Cl-ピペット液(40mM)でホールセルパッチクランプ記録を行ったところ、muscimol(GABA-A受容体アゴニスト)の細胞体への投与は、脱分極を起こした。この時、坐骨神経の電気刺激により活動電位を細胞体へ向けて伝導させると、細胞体において活動電位の著しい減弱が認められた。Muscimolを投与せず、細胞体への電流通電で脱分極を起こしても、同様に伝導する活動電位の減弱が認められた。次に、ピペットのCl-濃度を下げる(10mM)と、muscimolによる脱分極は減少し、活動電位の減弱は起こらなかった。したがって、活動電位の伝導遮断は、シャント効果ではなく、主に、脱分極によるNa+チャネルの不活性によるものと推察された(第36回国際生理学会、2009年、京都にて発表)。次年度は、多種多様なDRGニューロンを分類した上で、伝導遮断とNa+チャネルの不活性との関係をより詳しく解析する。
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Research Products
(2 results)