2010 Fiscal Year Annual Research Report
侵害受容性感覚神経におけるGABAの興奮伝導修飾作用
Project/Area Number |
21600014
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
八木 淳一 杏林大学, 医学部, 講師 (90265760)
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Keywords | 神経科学 / 痛覚 / 感覚神経 / シナプス前抑制 / パッチクランプ |
Research Abstract |
脊髄後角の感覚情報伝達において、γ・アミノ酪酸(GABA) は、脊髄後根神経節 (DRG) ニューロンの中枢側終末部に作用して「シナプス前抑制」 を起こす。本研究は、神経終末部をモデル化した「ラット DRG・坐骨神経付 in vitro標本」 を用いて、シナプス前抑制の機序を解明することを最終目標としている。初年度(平成21年度)は、C-線維を有する小型 DRG ニューロン(C-type DRG ニューロン) の細胞体からのパッチクランプ記録を行い、神経線維の電気刺激により誘発される活動電位が GABA-A 受容体・Cl^-チャネルの活性化によって遮断されることを見出した。さらに、この伝導遮断は「脱分極によるNa^+チャネルの不活性化」 に起因することを示唆する実験結果を得た (第36回国際生理学会、2009年、京都にて発表)。平成 22年度は、多種多様な DRG ニューロンを分類した上で、GABA-A 受容体・Cl^-チャネル活性化による伝導遮断作用を詳しく解析したところ、この伝導遮断は、低閾値型あるいは中閾値型C-type DRG ニューロンで起こり、高閾値型では起こらないことを見出した(第32回日本疼痛学会、2010年、京都にて口頭発表)。Na^+チャネルの不活性の電位依存性は、TTX 感受性型と抵抗型とで異なることが知られている。このことから、Na^+チャネルの発現パターンによって、GABA による伝導遮断効果に差が生じる可能性が考えられる。最終年度(23年度)は、各種 DRG ニューロンのNa^+チャネルの発現パターンと伝導遮断効果の関係を解析することにより、GABA-A 受容体を介するシナプス前抑制の機序の解明を目指す。
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Research Products
(3 results)