2011 Fiscal Year Annual Research Report
侵害受容性感覚神経におけるGABAの興奮伝導修飾作用
Project/Area Number |
21600014
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
八木 淳一 杏林大学, 医学部, 講師 (90265760)
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Keywords | 神経科学 / 痛覚 / 感覚神経 / シナプス前抑制 / パッチクランプ |
Research Abstract |
脊髄後角の感覚情報伝達において、γ-アミノ酪酸(GABA)は、脊髄後根神経節(DRG)ニューロンの中枢側終末部に作用して「シナプス前抑制」を起こす。本研究は、神経終末部をモデル化した「ラットDRG-坐骨神経付加in vitro標本」を用いて、シナプス前抑制の機序を解明することを最終目標としている。実験では、C-線維を有する小型DRGニューロン(C-type DRGニューロン)の細胞体からパッチクランプ記録を行った。平成21-22年度の研究から、(1)神経線維の電気刺激により誘発される活動電位が、GABA-A受容体・Clチャネルの活性化による脱分極によって遮断される、(2)この伝導遮断は、低閾値型あるいは中閾値型C-type DRGニューロンで起こり、高閾値型では起こらないことを見出した。最終年度(23年度)は、GABAによる伝導遮断は「脱分極によるNa+チャネルの不活性化」に起因するとの仮説から、種々のC-typeDRGニューロンにおいて、不活性化の電位依存性が異なるNa+チャネル(TTX感受性型と抵抗型)の発現パターンの差がGABAによる伝導遮断効果の差に関連があるかどうかを検討した。しかし、現在まで、Na+チャネルの発現パターンの差から、すなわち、Na+チャネルの不活性化の電位依存性の差からGABAによる伝導遮断効果の差を十分に説明することはできない。現在、引き続き、GABA-A受容体の活性化による伝導遮断効果について、Na+チャネル以外の電位依存型イオンチャネルの関与も含めて研究を行っている。
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