2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21601001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 克 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教 (50321956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 幸治 北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 准教授 (10451395)
北原 次郎太 北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 准教授 (70583904)
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Keywords | 博物館 / 博物館資料 / 古写真 / 文化財 / 考古学 / 動物学 / アイヌ文化 |
Research Abstract |
平成23年度は研究最終年度として、調査の結果に基づいた、論文発表および目録を含む報告書の作成に重点を置いた。 研究代表者である加藤らは、ヒグマの頭骨写真に記載されていた数字から被写体となった標本を特定し、博物館資料の価値の向上に寄与した。研究協力者である猪熊は、写真に写っている建物が根室市に存在していた屯田兵の大隊本部であることを明らかにし、現存する被服庫とともに根室地域の文化財建築の記録復元に貢献した。また、論文化には至っていないが、北原は写真に写っているアイヌのヌサを博物館資料と照合し、現在資料の一部が欠落していることを見出した。資料の原型復元によって、樺太アイヌ文化の特質の再検討が可能となった。 この他、写真のデジタル化によって、教育・普及活動も活性化した。特に、国立民族学博物館で開催された国際シンポジウム「温故知新-アイヌ文化研究の可能性を求めて-」において、本課題で整理・検討されたアイヌ資料写真の意義について、活発な議論が交わされた。 本年度最も重点を置いた活動は、研究成果報告書の作成である。本研究課題が重視した目的は、研究に関わった研究者・協力者が写真を利用して研究を行うことよりも、適切な情報を得た形で古写真を社会に発信することで、様々な利用方法が見いだされ、教育・研究活動、文化財保護などに貢献することである。このため、報告書では、分野ごとの目録と撮影地域別の目録を編集し、利用にあたっての利便性に配慮した。報告書は研究機関だけではなく、各地の図書館等に送付し、地域における活動に利用できるようにする予定である。 残された課題としては、被写体となった人物の肖像権の問題である。被写体となった人物は没している場合も多く、写真公開にあたっての許諾を得ることができなかった。今後、公開目的での利用にあたっては、各利用者による掲載許可の手続きが必要になる。
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